e 若年消費者の保護  不安につけ込む契約を防ごう

  • 2017.10.10
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年10月9日(月)付



新しい商品、商法が次々に生まれる中、消費者保護ほど"不断の見直し"が要請される政策分野はない。

政府は現在、消費者契約法の改正作業を進めている。今回は特に、成人して間もない若者を悪徳商法の手から守るための条文を整備する。若者の不安や弱みにつけ込み、困惑させて契約を迫る行為を阻止できるルールの確立を期待したい。

悪徳商法の被害は続いている。近年は、高額商品の契約を取るために社会的経験の乏しい若年成人を狙うケースが多い。今回の消費者契約法改正を議論した政府の消費者委員会の報告書には、そうした例としていわゆるデート商法、不安商法が挙げられ、その対策が示されている。

デート商法とは、例えばSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の婚活サイトで知り合った女性に対し、二人の将来の話をしながら投資用マンションの契約をさせる方法だ。報告書はこのように勧誘目的で新たにつくった人間関係を乱用して結んだ契約は取り消せるようにすることを求めている。

不安商法の例としては、就職活動中の学生に「今のあなたでは一生成功しない」などと言って不安をあおっておいて、高額の就職セミナーの受講契約を結ばせるのが典型だ。報告書は、相手がどのような不安を感じているのかを知った上で、根拠もないのに、その不安を回避できると言って結ばせた契約も取り消せるように求めている。

現在の消費者契約法では、長時間居座って契約を迫るような行為については、契約を結ばされても取り消しができるようになっている。しかし、デート商法や不安商法のように、合理的な判断ができないような事情を不当に利用された場合の契約については規定がなく、一度契約をしてしまうと解約は困難だ。

国民生活センターによると、デート商法に関するトラブルだけで毎年、500件前後の相談がある。また、未成年から20歳になった途端に契約関係の相談が増え、悪徳業者がその世代を狙っていることも明らかになっている。

政府は法改正と同時に、学校での消費者教育の充実も進めてほしい。

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