eあす原爆の日 核兵器禁止条約をどう生かすか

  • 2017.08.07
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年8月5日(土)付



国連で「核兵器の使用」も「使用するとの威嚇」も禁じた核兵器禁止条約が7月7日に採択されてから1カ月。あす6日は広島市、9日は長崎市が72回目の「原爆の日」を迎える。

核兵器禁止条約が50カ国の加盟によって発効することは確実視されている。長年、つらい被爆体験を勇気を持って語り続けてきた「ヒバクシャ」にとって、核兵器を禁止し、核兵器を違法化する時代が現実になろうとしている今、どのような思いを持たれていることか。

唯一の被爆国として、私たちは今後、「ヒバクシャ」の声で実現した「核兵器は違法」との規範を生かし、核をもてあそぶ北朝鮮の存在など厳しい国際政治の中で核廃絶をめざす責任がある。

しかし、核保有国やその「核の傘」の下にある日本や韓国、そして北大西洋条約機構(NATO)など核依存国が核兵器禁止条約に加盟する可能性は、ほとんど見込めない。

このままでは、「核兵器のない世界」は見果てぬ夢になってしまう。

こうした現状に対し、日本の反核NGO(非政府組織)は「禁止は廃絶に向けての歴史的な第一歩。しかしそれは到達点ではない」と訴えている。その通りだ。政治の場で、市民運動の場で、さらに核廃絶に向けた対話や行動を広げていく必要がある。公明党は今後もNGOと連携し、さらに努力を続ける決意だ。

まず、取り組むべきことは、核兵器禁止条約に至るまでの過程であらわになった核保有国と非核保有国の溝を埋める作業だ。

日本政府は双方の有識者からなる「賢人会議」を開催し、そこで核廃絶に向けての対話を進める方針だ。NGOからは、核依存国も「核の傘」について核保有国と安全保障について率直に対話を始めてはどうかとの考えが示されている。対話は相互理解を深める。核廃絶への着実なステップにしてほしい。

核兵器禁止条約は前文で「ヒバクシャ」の苦しみと非人道性を世界に知らせてきた努力に言及している。「ヒバクシャ」が世界を動かしたことが歴史に刻まれた意義は大きい。

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