eコラム「北斗七星」

  • 2017.07.05
  • 情勢/社会

公明新聞:2017年7月5日(水)付



戦国を代表する武将・信長、秀吉、家康。異なる個性が対比されることが多いが、健康状態にも、それぞれの生き様が投影されていたようだ。歴史小説家で医師でもある篠田達明氏は『戦国武将のカルテ』(角川ソフィア文庫)で、短気で睡眠時間が短く、味の濃い食事を好んだ信長は、高血圧が「危険レベルに達していたのでは」と推測する◆晩年、認知症の徴候が現れた秀吉は、末期の消化器がんに侵されていた。家康はとりわけ健康管理に気を配ったが、自己診断に固執するあまり侍医の意見を聞き入れず、死期を早めたらしい◆篠田氏は、明智光秀が本能寺を襲撃しなくても、信長は早晩、脳卒中で倒れただろうと考察する。光秀に時を待つ余裕があれば、歴史は違った道を進んだかも知れない◆脳卒中は現在でも、毎年10万人以上の命を奪っている。その7割を占める脳梗塞には、「t―PA療法」という有効な治療があるが、発症後4時間半以内に行うことが必須。専門医のいる病院が少ないため、この治療を受けられる患者は5%ほどにすぎない◆一般の病院でも、ITを利用した遠隔医療などによって、専門医の指示を受けながら治療を行える連携システムの構築が課題となっている。すべての患者が適切な治療を受けられるよう、体制の整備が急がれる。(千)

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