e住まいの安全網 高齢者らに支援の手届けたい

  • 2017.06.16
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年6月16日(金)付



高齢者や低所得者、障がい者が円滑に住居を確保できるよう、自治体のきめ細かな対応が急がれる。

民間の空き家・空き室を活用し、住宅の確保が困難な高齢者らの入居を支援する「改正住宅セーフティネット(安全網)法」が成立した。

同法により、▽高齢者らの入居を拒まない空き家・空き室を都道府県ごとに登録▽空き家の改修費用として家主に最高200万円補助▽低所得の入居者に月額4万円を限度に家賃補助―などの支援制度が創設された。今秋の実施に向け、政府はしっかりと準備を進めてほしい。

法改正の背景には、住まいの確保に難渋する高齢者らの現状がある。

単身の高齢者は今後10年間で100万世帯増えると見込まれるが、公営住宅は応募倍率が高く当選するのは容易ではない。民間住宅を希望しても、孤独死や家賃滞納などを恐れる家主から入居を拒否されるケースが多い。それだけに、新制度に対する高齢者らの期待は大きいのではないか。

とはいっても、高齢者や障がい者にとって、支援制度の利用に必要な申請をすることでさえ決して容易ではなく、入居に至るまでにはさまざまなサポートが必要であるということを忘れてはならない。

この点については、2007年に成立した「住宅セーフティネット法」に、「居住支援協議会」の設置が盛り込まれている。これは、自治体や不動産関係団体、NPO法人などで構成され、円滑な入居をサポートするものだ。

例えば、いち早く居住支援協議会を立ち上げた東京都調布市では、専門相談室を設置し、民間賃貸住宅の情報提供から、各種助成制度の説明、入居後の見守りに至るまで、きめ細かい支援に取り組んでいる。

しかし全国的に見ると、昨年11月時点での設置状況は47都道府県と17市区町村にとどまっている。入居希望者一人一人に寄り添った支援を行うためには、市町村レベルの設置を加速させる必要がある。

折しも、各地の地方議会では7月にかけて定例会が開かれる。地域の実情に沿った支援のあり方についての論議を公明議員がリードしたい。

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