eテロ等準備罪法 成立

  • 2017.06.16
  • 情勢/社会
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公明新聞:2017年6月16日(金)付



重大な組織犯罪を防ぐ
TOC条約締結で国際社会と連携



テロ等準備罪法骨子
一、重大犯罪の計画、準備段階で処罰する「テロ等準備罪」新設
一、「懲役または禁錮4年以上」の277の犯罪が対象
一、「組織的犯罪集団」が適用対象
一、法定刑は、計画した犯罪の重さに応じ、5年以下または2年以下の懲役か禁錮

「テロ等準備罪」を新設する改正組織犯罪処罰法(テロ等準備罪法)は15日朝の参院本会議で、自民、公明の与党両党と日本維新の会などの賛成多数で可決、成立した。本会議では、参院法務委員会での採決を省略して「中間報告」を行った上で採決を行った。テロ等準備罪法の本会議採決は、賛成165票、反対70票だった。

14日夜に始まった参院本会議では、野党が提出した金田勝年法相の問責決議案と、山本順三参院議院運営委員長解任決議案がそれぞれ否決された。この後、休憩を挟み、日をまたいで本会議は続行され、15日未明に秋野公造法務委員長(公明党)が中間報告を実施し、質疑・討論を行った上で採決が行われた。

一方、民進、共産、自由、社民4党が提出した安倍内閣不信任決議案は15日未明の衆院本会議で、自民、公明両党と維新などの反対多数で否決された。

テロ等準備罪の新設は、テロを含む組織的な重大犯罪を未然に防ぐことが目的で、既に187カ国・地域が加盟する国際組織犯罪防止条約(TOC条約)の締結に必要な国内法整備。同条約は、加盟条件に犯罪を合意段階で処罰する国内法の整備を求めており、日本は国際社会から繰り返し条約の早期締結を勧告されてきた。条約の締結により、捜査共助の迅速化、日常的な情報交換の促進、逃亡犯罪人引き渡しの請求が可能になる。

テロ等準備罪は、テロ組織や暴力団、薬物密売組織といった「組織的犯罪集団」の構成員らが、2人以上で重大犯罪を「計画」し、「準備行為」を実行すれば処罰可能とするもの。対象を組織的犯罪集団に限定したことなどで、一般の人が捜査対象にならないよう要件が厳格化されている。

また、対象犯罪は、死刑、無期または4年以上の懲役・禁錮が定められている罪のうち、277の罪。公明党の主張を受け、当初の676から限定された。

テロ等準備罪は、通信傍受法の対象犯罪ではないことから、捜査でメールやLINE(ライン)が傍受されることはない。また、警察がテロ等準備罪で逮捕など強制捜査をする場合も一般犯罪と同様に裁判所の令状が必要で、裁判所による厳格なチェックがあるため、警察権の乱用に歯止めがかかっている。与党と維新による修正で、捜査の適正確保への配慮規定も盛り込まれた。=関連記事

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