e17年度予算案のポイント

  • 2016.12.26
  • 生活/子育ての補助金・助成金
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公明新聞:2016年12月23日(金)付



教育、子育て



給付型奨学金を実施
通級指導の教員確保

返済不要の給付型奨学金で、基金創設のため70億円を盛り込んだ。住民税非課税世帯の大学生らが対象で、1学年当たり約2万人に月2万~4万円を支給する【表参照】。

17年度は経済的に厳しい状況で私立に通う下宿生らや、児童養護施設出身者など社会的養護を必要とする学生を対象に先行して実施し、18年度から本格実施する予定。児童養護施設出身者には別途、入学時に24万円を給付する。

公立小中学校の教職員については、発達障がいのある子どもを一部別室で教える「通級指導」や、外国人児童・生徒への指導充実などで868人増やす。

低所得世帯への経済支援として、年収約270万円未満の世帯を対象に、第2子の幼稚園保育料を無償化する。

また、年収400万円未満の世帯に私立小中学校の授業料を年額10万円補助する事業を始める。

待機児童の解消に向けては、人手不足が指摘される保育士の処遇改善を進める。賃金を約2%引き上げた上で、勤続年数がおおむね7年以上の中堅保育士に「副主任保育士」などの役職を新設し、研修修了などを要件に月額4万円賃上げする。おおむね勤続3年以上の若手保育士にも新たな役職を設け賃金を5000円増やす。


公共事業、復興


防災・減災、成長に重点
福島農産物で風評対策

公共事業関連費は、16年度当初予算に比べ、0.04%増の5兆9763億円となった。5年連続で増えるが、増加額は3年連続で26億円と小幅にとどまる。防災・減災対策の推進や日本の成長力強化につながる事業に重点を置いた。

8月の台風で被害を受けた北海道など、近年大きな水害や土砂災害が発生した地域の災害防止対策には304億円を充て、洪水時の水位を下げるための河道掘削などを進める。

一方、成長力強化に向けては、三大都市圏の環状道路や空港・港湾へのアクセス道路の整備に2529億円を計上。20年の東京五輪・パラリンピックなどを見据え、首都圏空港の機能強化に147億円を充てる。

さらに、地方自治体が進めるインフラの整備や老朽化対策を財政支援する「社会資本整備総合交付金」は8940億円、「防災・安全交付金」は1兆1057億円をそれぞれ計上した。

一方、東日本大震災の復興関連経費は2兆6896億円となった。東京電力福島第1原発事故により立ち入りが制限されている帰還困難区域で、5年後の避難指示解除をめざし、17年度から設置する復興拠点での除染費用として309億円を確保。福島県産の農林水産品の風評被害対策47億円や、人手不足に悩む企業向けの人材確保対策10億円なども新たに盛り込んだ。

観光庁の予算案は前年度比5.1%増の210億3500万円で過去最高となった。訪日客数を20年に年4000万人に増やす目標の達成に向け、戦略的なプロモーションを展開するとともに、住宅などの空き部屋を旅行者に貸し出す「民泊」の普及を支援する。


働き方改革


正社員化へ企業支援
長時間労働是正促す

働き方改革関連予算は約2000億円になる見通しだ。

同一労働同一賃金の実現に向け、非正規社員を正社員にした企業への助成金の増額や、賃金規定や諸手当制度を改善した企業への助成拡充に564億円を確保。各都道府県に「非正規雇用労働者待遇改善支援センター(仮称)」を設置し、コンサルタントによる個別相談援助事業も実施する。

また、長時間労働を是正するため、退社から次の出社まで一定時間を空ける「勤務間インターバル制度」を自発的に導入した中小企業を支援。

このほか、労使折半の雇用保険料は0.8%から0.6%に下がり、会社員の手取り収入は少し増える。


医療、介護


70歳以上負担見直し
介護士の給与引き上げ

高齢化による社会保障費の自然増を抑えるため、医療・介護の自己負担を見直す。

医療分野では、所得に応じて1カ月の医療費の自己負担額に上限を設ける高額療養費制度について、70歳以上の限度額を改定する。

外来診療の場合、年収370万円未満(住民税非課税を除く)の人は、現在1万2000円だが、17年8月から1万4000円、18年8月から1万8000円となる。ただし、限度額の年間上限を新設し、現行と同じ14万4000円とするため、年間で見れば、負担は据え置かれる。

年収370万円以上の人は、17年8月から1万円以上引き上げられ、18年8月から70歳未満と同じ扱いになる。なお、住民税非課税の人は従来通り。また、75歳以上の後期高齢者医療制度の保険料負担を軽くする特例は段階的になくす。

介護分野では、所得が高い大企業社員らの介護保険料の負担を増やす総報酬割を17年8月分から段階的に導入する。

介護人材の確保へ処遇改善に力を入れる。勤続年数や資格に応じて賃金が上がる仕組みを導入し、介護士の給与を月額約1万円引き上げる事業者を支援。介護報酬加算などに約410億円を充てる。

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