eコラム「北斗七星」

  • 2016.12.26
  • 情勢/社会

公明新聞:2016年12月23日(金)付



広島市で開かれた、すい臓がんに関する医療セミナーに参加した。「亡くなる人を一人でも減らしたい」。すい臓がん治療の最前線で奮闘する専門医らの熱意が伝わってきた◆6年前、友だちがすい臓がんで亡くなった。再会を約して別れた時、元気そうに見えた友は、ひと月余りで帰らぬ人となった。以来、すい臓がんという病気には特別な関心を持っている◆すい臓がんは、早期では自覚症状がほとんどなく、見つかりにくい。がんと分かった時にはもう治療が難しいケースが多く、手術ができるのは2割程度という。極めて治すのが難しい難治性がんの代表である◆セミナーでは、広島県尾道市の医師会と中核病院が連携して、すい臓がんを早期に発見する取り組みが話題になった。地域の開業医が、糖尿病、肥満など高リスクの患者に、症状がなくてもエコー検査を勧め、兆候があれば中核病院に紹介し、EUS(超音波内視鏡)などで精査する仕組み。この「尾道方式」は早期の診断、治療につながる目覚ましい成果を上げており、全国に広がりつつある。地域医療による、がん対策の新しい動きといえよう◆公明党がリードし、臨時国会で成立した改正がん対策基本法に、難治性がんや希少がんに関する研究促進が盛り込まれた。診断・治療技術の一層の進歩を願ってやまない。(中)

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