e「ハンドルのないバスが走った!」

  • 2016.11.21
  • エンターテイメント/情報
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公明新聞:2016年11月20日(日)付



国内初 自動運転車、公道で実証実験
秋田・仙北市



人が運転しなくても無人で走る「自動運転車」の実用化に向けて、取り組みが進んでいます。政府は13日、秋田県仙北市と共同で、国内では初めてとなる自動運転バスを公道で走行させる実証実験を行いました。これには、公明党国土交通部会の新妻秀規部会長代理(参院議員)らが視察し、自動運転車の現状と課題を探りました。


公明、実用化への課題を探る

「運転手のいない車が動くなんて、不思議です!」――。発車を告げるアラーム音が鳴ると、全長約4メートルの自動運転バスが、ゆっくりと走り出しました。秋田県東部に位置する田沢湖沿いの県道約400メートルを、時速10キロ程度のスピードで、軽快に進みます。片道約10人ずつが乗車し、往復で3回、60人以上の市民らが"夢の自動運転"を体験しました。

走行したバスは、前後の区別がないユニークな形をしたフランス製の「ロボットシャトル」(定員12人)という電気自動車です。車両内部には、通常の車にある運転席もなければ、ハンドルもありません。あるのは、目的地までのルートを決定するタッチパネルです。

自動走行の仕組みは、衛星利用測位システム(GPS)やカメラなどを活用し、あらかじめ取得したルートなどの情報を基に目的地までたどり着きます。また、検知用レーザーセンサーが搭載されて、障害物を発見し、避けることもできるようになっています。

仙北市は、政府の国家戦略特区の指定を受け、今後も国と協力し、実証実験を重ねていく方針です。目標として、2020年東京五輪・パラリンピックの開催時期までに、田沢湖を1周する定期観光バスや、市民の"地域の足"としての活用をめざしています。

試乗した小松奈都子さん(33)は、「静かで、安心して乗れました。一緒に乗った息子も楽しんでいて、良かったです。将来、自動運転バスが市内を走るのが待ち遠しい」と声を弾ませていました。

視察を終えた新妻氏は、「実用化のために必要とされる交通環境の改善や、法整備などを推進するとともに、地域活性化に結び付ける施策を後押ししていきたい」と述べ、自動運転車の普及促進に取り組む考えを示していました。


技術革新のため国際的な協調を

自動運転を実現するために、内閣府は15日から3日間、欧米アジア太平洋地域の専門家とともに、課題の共有と解決に向けた取り組みを議論する国際会議を都内で開きました。

15日午前のオープニングセッションでは、フィンランドのアンネ・ベルネル運輸通信大臣が登壇し、公道で自動運転バスを走行させる実証実験を予定していることを紹介。米国や英国、オランダ、ドイツなどの専門家らが各国での自動走行システム開発への進ちょく状況を報告しました。

内閣府のSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)自動走行システムのプログラムディレクターである葛巻清吾氏(トヨタ自動車)は、安全性を確保しながら自動走行システムを実現するためには、「車の位置情報を正確に把握することが必要だ」と強調。さらなる技術革新を進めていくためにも「国際的な協調と標準化が必要だ」と語りました。


交通事故の減少に期待

自動運転のレベルは4段階に分かれています【図参照】。今回の秋田県仙北市での実証実験は、最高レベル4のドライバーが全く関与しない「完全自動走行システム」に当たるため、関係者から注目を集めました。

自動運転のポイントは三つあります。一つ目は、車のカメラやセンサーなどで障害物を検知し、GPSで車の位置などを確認すること。二つ目は人工知能(AI)で周囲の状況を把握し、三つ目はハンドルやブレーキ、アクセルを正確に操作することです。

この"夢の自動運転"が実現すれば、幅広い効果が期待されています。周囲の状況に応じ、最適な操作をするため、交通事故の減少や渋滞の緩和、高齢者や障がい者の移動手段の確保などが挙げられます。

政府は今後の実用化の目標として、2020年までに、レベル2の「準自動走行システム」を実用化させ、20年をめどに緊急時にドライバーが対応するレベル3を実現。その後、25年をめどにレベル4の実用化をめざしています。

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