e日本の文化芸術を世界にアピール

  • 2016.10.31
  • 情勢/国際

公明新聞:2016年10月30日(日)付



2020年東京五輪・パラリンピックめざし
「本大会成功へ機運高めよう」



2020年東京五輪・パラリンピック大会開催まであと4年――。オリンピックは世界最大のスポーツの祭典であると同時に、文化の祭典として発展してきました。東京大会の開催を、日本文化の多様な魅力を世界に発信する絶好の機会として捉え、各種団体が行う文化芸術などのイベント「文化プログラム」が、今月からスタート。公明党は「文化芸術立国」の実現に向け、この取り組みを全面的に推進しています。


五輪と文化プログラム

オリンピック憲章では、スポーツと文化と教育の融合を謳っており、五輪組織委員会は、複数の文化イベントからなる「文化プログラム」について、開催国で実施を計画する義務があると規定しています。

オリンピックと文化の関係性は、歴史をさかのぼると、1912年の第5回ストックホルム大会から「芸術競技」として、文学や音楽などを採点して順位を競っていました。52年の第15回ヘルシンキ大会からは「芸術展示」が行われるようになりました。

64年の第18回東京大会では、都内の美術館や博物館などで、美術部門4種目(古美術や写真など)、芸能部門6種目(歌舞伎や人形浄瑠璃など)を実施。特に、東京国立博物館で開催された「日本古美術展」には、約40万人が来場するなど大きな成功を収めました。

92年の第25回バルセロナ大会以降、「文化プログラム」の時代となり、2012年の第30回ロンドン大会では、英国全土1000カ所以上で、コンサートや美術作品の展示など17万7717件のイベントを展開。外国人観光客は、12年から13年で約5.2%の伸び率を記録するなど、大きな波及効果をもたらしました。

20年の東京大会に向けた文化プログラムでは、史上最大規模となる20万件のイベントの実施、5万人のアーティストや、5000万人の参加をめざし、国や自治体、民間企業、地域団体、学生など総がかりで取り組んでいく方針です。


東京・京都でキックオフイベント 海外60カ国から参加

全国各地での文化プログラム開幕へのキックオフイベントとして、「スポーツ・文化・ワールドフォーラム」(主催=文部科学省、スポーツ庁、文化庁)が19日から22日まで、東京都と京都市で開催されました。

両会場には海外60カ国以上から約5000人が参加。基調講演やパネルディスカッションなど多くの分科会が行われるとともに、日本の伝統芸能である能や和楽器の演奏会などの多彩な文化イベントが各会場をにぎわせました。

東京会場では、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長が基調講演に立ち、「東京大会は日本の文化を世界に見せる素晴らしい機会になる。いつもスポーツと文化の間には関連性があり、連帯と友情、平和を世界に広めていきたい」と強調しました。

また、京都会場の分科会では、オリンピック文化遺産財団のフランシス・ガーベット理事長らによるパネルディスカッションなどを開催。ガーベット理事長は、「20年まで世界の目は、東京をはじめ、日本に注がれる。草の根で市民参加を広げる文化プログラムで、本大会成功への機運を高めてほしい」と期待を述べました。

京都会場を訪れた文化プログラム推進に携わる自治体担当者は「地域の特性を生かし、市民が参加できる企画を立案し、地域活性化に結び付けていきたい」と述べていました。

文化プログラムの検討を進める公益社団法人・日本オーケストラ連盟は、聖火リレーが全国を走ることに着目し、47都道府県でコンサートを開き、各地域の吹奏楽団や合唱団などとの共演を計画しています。


公明も後押し

文化芸術立国の実現をめざす公明党は11日に、党文化プログラム推進委員会を設置し、取り組みを強力に後押ししていきます。

浮島智子委員長(衆院議員)は、「政府をはじめオールジャパンで盛り上げる文化プログラムによって、20年の東京大会後も文化芸術の重要性が日本中に広がる契機としていきたい」と述べています。


地域での啓発が不可欠
三菱UFJリサーチ&コンサルティング芸術・文化政策センター長 太下義之氏

スポーツイベントとしての五輪・パラリンピック大会は開催都市や期間が限られます。しかし、文化プログラムは開催年を含めて4年間、全国規模で展開されるため、影響力は大きいものです。

例えば、12年のロンドン大会では、延べ約4300万人が参加し、大会成功の機運を盛り上げると同時に、英国のブランド力を高め、外国人旅行客の増加にもつながりました。また、障がい者の芸術活動を支援する「アンリミテッド」と呼ばれる文化プログラムは、大会後の英国の文化政策にも継承されるほどのインパクトを残しました。

20年の東京大会でも、後世のレガシー(遺産)となる文化プログラムを行うことが重要です。それには、まず各地域の文化芸術関係者に、文化プログラムへの認識を高めてもらう地道な啓発活動が欠かせません。文化芸術政策に熱心に取り組んでいる公明党には、文化プログラムの振興へ力強い後押しを期待したい。

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