eコラム「北斗七星」

  • 2016.06.21
  • 情勢/社会

公明新聞:2016年6月21日(火)付



戦後最大の重みを持つ選択ではないか。欧州連合(EU)残留の賛否を問う英国の国民投票が2日後に迫った。もし、離脱となれば、短期的には欧州全域で政治、経済の混乱を招き、国際社会への影響も必至だろう◆気になるのは、欧州内の反EU勢力が勢いづき、「ドミノ現象」となって各国に飛び火しないかである。そうなれば、2度の世界大戦で多数の犠牲者を出し、荒廃の中から芽生えた統合の理念が色あせ、分断の道へと進みかねない◆離脱派は、職を失い、テロの恐怖に怯える人々に巣くう難民、移民への警戒感や憎悪を巧みに取り込み、支持を広げているという。攻撃の標的を仕立てて、争点を極度に単純化し、人々の激情と対立を煽って共感を集める手法は、米国の大統領選挙でも見られた。それでは、寛容や人権、共生の価値観が後退し、排外的な孤立主義が頭をもたげるだけである。社会を変える解決策になり得ない◆「現在、世界で一番愚かなことを喋り、最も賢明なことを行うのが、英国人である」。19世紀の英国の思想家、トーマス・カーライルの箴言だが、今の世にも当てはまることを信じたい◆あす22日は参院選の公示日。どの政党、候補者に国の将来を託すか。煽動的な言動に惑わされない賢明な判断が必要なのは、日本の有権者も例外ではない。(明)

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