eコラム「北斗七星」

  • 2015.11.24
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年11月24日(火)付



米国にはこんなジョークがある。「日本人がスピーチ? それは大変。胃薬を持っていかなくちゃ」。食後、まずい話を聞かされては、食べたものが消化しないという意味だ◆日本人は内向きでシャイ。加えて「話下手」(外山滋比古著『知的生活習慣』ちくま新書)。そんな負のイメージが消えつつある。男子テニスATPツアー・ファイナルに出場した錦織圭(日清食品)など、流暢に外国語を操り活躍する人々によるものだけではない◆訪日外国人の急増により、京都、大阪などの商店街では、店員が英語や中国語で応対するのが日常茶飯事に。観光地では多言語が飛び交い、外国人と話す日本人もよく見掛ける。変化は顕著だ。それにしても、なぜ今、日本に関心が集まるのだろう◆1980年代、マレーシアのマハティール首相(当時)が提唱した「ルックイースト」。日本に着目し発展モデルの構築を進める政策だ。当時は経済が中心。最近は食、アニメ、ファッションといった文化や、技術のほか、スポーツにまで広がっている◆例えば日本サッカー協会ではアジア各国からの熱い視線に応え、11の国と地域に代表監督らを派遣している。塩野七生さんは、ローマ帝国滅亡の原因を聞かれ、自信を失い、覇気が衰えたことを挙げていた。変化は日本人が自信を取り戻しつつある証左かも知れない。(田)

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