eQ&A なぜ軽減税率か

  • 2015.11.24
  • 情勢/経済

公明新聞:2015年11月24日(火)付



確実に負担緩和の実感
消費冷やさず、低所得者に恩恵



与党が2017年4月の消費税率10%への引き上げと同時に導入するための検討を進めている軽減税率の目的や意義について、Q&A形式でまとめました。


Q なぜ軽減税率導入が必要か。


A 一つは、所得が低い人ほど負担感が重くなる逆進性を緩和するためです。低所得者は高所得者よりも、家計の消費支出に占める食料費の割合(エンゲル係数)が高くなります。その負担感を軽くするために、食料品の税率は抑える必要があります。


その上で、特に重要なのが国民の痛税感の緩和です。これは、消費税率引き上げに対する国民理解を得るために不可欠です。14年4月の8%への引き上げは、個人消費を想定以上に冷え込ませ、特に低所得層での落ち込みが顕著でした。消費マインドを冷やさないためにも、軽減税率によって、買い物のたびに負担の緩和を実感できるようにしなければなりません。


Q 生活必需品が対象とはいえ、高所得者ほど恩恵が大きいとの批判もあるが。


A 高所得者ほど消費する額が多いのだから軽減の「額」は大きくなります。しかし、これをもって高所得者の恩恵が大きいと断じるのは早計です。所得に占める軽減額の「率」で見ると、低所得者ほど軽減効果が大きくなります。


しかも、低所得者に及ぶ効果は、食料品を対象品目とした場合、より高くなります。低所得者ほど消費支出に占める食料費の割合が高いからです。特に、加工食品は、低所得者ほど多く利用していることが統計上も明らかです。公明党は、加工食品も含めた幅広い食料品を対象品目とするよう訴えています。


Q 「簡素な給付措置」や「給付つき税額控除」の方が効果的ではないか。


A 法律では「軽減税率」や「給付つき税額控除」が導入されるまでの一時的な低所得者対策として「簡素な給付措置」が位置付けられています。この措置は、8%への引き上げ時に実施されましたが、申請が必要なため、対象者の6~7割しか給付が届いていない自治体が相次ぎました。


一方、給付つき税額控除は、所得課税の軽減と現金支給をセットにした低所得者対策ですが、所得を把握する社会保障と税の共通番号(マイナンバー)制度が大前提です。この制度の定着は随分先であり、17年4月に導入できる恒久的な低所得者対策として最も現実的なのは軽減税率です。

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