eコラム「北斗七星」

  • 2015.10.28
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年10月28日(水)付



「限界を自分で作るな」。車いすバスケットボールで来年のパラリンピック・リオデジャネイロ大会への出場権獲得に貢献したチーム最年少(16歳)の鳥海連志選手が、胸に刻む母の言葉だという。障がいというハンディを前向きに捉え、能力の向上に励み困難に打ち勝つ姿に感動を覚える◆初のパラリンピックは1960年のローマ大会だが、パラリンピックの名称が使われたのは64年の東京大会からだ。日本人が卓球で金メダルを獲得し、障がい者スポーツを発展させる契機になった◆その後、98年の長野大会で日本人初の冬季金メダル(アルペンスキー)に輝いた大日方邦子さんらの活躍により、パラリンピックの認知度は国内でも急速に高まる◆20年東京五輪・パラリンピックに向けて、今月からスポーツ庁が発足し本格的な取り組みが始まった。日本は2度にわたって五輪とパラリンピックを同じ都市で開催する初の国となる。大日方さんは「誰もが参加できるのがスポーツであり、五輪・パラリンピックは多様な人たちを知る絶好の機会」と語る◆障がいの有無にかかわらず、能力に応じて参加できる共生社会を築くための取り組みが欠かせない。都市全体のバリアフリー化に限らず、多様性を認め合い、互いを思いやれる「心のバリアフリー」を広げていきたい。(紀)

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