e変わる難病対策《下》

  • 2015.08.18
  • 情勢/社会

公明新聞:2015年8月18日(火)付



新たな指定へ
「薬代で生活苦」。望む支援
公明は今後も患者の声を政治の場に



原因不明のリンパ節疾患であるキャッスルマン病。発熱、倦怠感、貧血などに加え、肺や腎臓、肝臓などの機能低下に伴う症状が現れる。時には重篤な合併症も引き起こす。


国内の患者数は約1500人ともいわれているが、正確な数は分からない。今年1月施行された難病対策の新制度では、医療費助成を受けられる指定難病の306疾病には入らなかった。


8月1日、キャッスルマン病患者会(福島かおり代表)が正式に立ち上がった。今回、果たせなかった指定難病入りに向け、本格的な動きを始めた。


実は福島代表自身も患者の一人。30年近く前、盲腸の手術後に血液の異常が見つかった。自覚症状はなく、職場の健康診断でも異常を指摘され続けたため病院へ。悪性リンパ腫などとも診断されたが、10年ほど前にキャッスルマン病と判明。そのころから病状が悪化した。「高熱と貧血、倦怠感でずっと横になっていた。見た目では分からず、"なまけ病"と言われたこともあった」と当時を振り返る。


その後、新薬開発などで症状をある程度は抑えられるようになったが、月額5万円の薬代が重くのしかかる。福島代表は「満足に働けず、月々の薬代で生活苦に陥っている患者は多い」と医療費助成の必要性を訴える。


指定難病になるには、▽原因不明▽治療方法が未確立▽診断基準が確立▽患者数が人口の0.1%程度以下―などの条件を満たす必要がある。キャッスルマン病については症状の個人差が大きく、正確な診断が難しい。


同病は今年4月、厚生労働省の難治性疾患政策研究事業に認定された。診断基準の研究が進展すれば指定難病の道も見えてくる。今後、大阪大学の吉崎和幸名誉教授らが同患者会と協力して、研究を進める方針だ。


公明党はこれまで、難病対策推進本部(本部長=江田康幸衆院議員)を中心に、さまざまな難病の患者会と意見交換を重ねてきた。その上で寄せられた訴えを最大限盛り込んだ提言を政府に申し入れ、難病医療法や改正児童福祉法に反映させるなど、一貫して患者目線の改革をリードしてきた。


今回、指定難病に入らず、さらなる研究が望まれる病気は、キャッスルマン病をはじめ、慢性疲労症候群、線維筋痛症など多くある。江田本部長は指定難病の追加なども見据えた上で、「公明党は今後も困難を抱える人にしっかり寄り添い、支援していく。医療費助成を拡大するのと同時に、子ども難病においては成人後も切れ目ない支援を充実させたい。また、今後は就労、生活支援など地域に根差した取り組みにも力を入れていく」と力強く語る。

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