e核のない世界へ 非人道性会議 米の初参加を歓迎

  • 2014.11.13
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年11月13日(木)付



「核兵器のない世界」に向けた動きを加速できるか―ウィーンで来月開催される「第3回核兵器の人道的影響に関する会議」(非人道性会議)に米国が初参加を表明した。これを核廃絶の追い風にする必要がある。

昨年3月はオスロ、今年2月はメキシコ・ナジャリットで開かれた過去2回の非人道性会議には、核拡散防止条約(NPT)で核保有を認められた米英仏ロ中の5カ国と事実上の核保有国であるイスラエルと北朝鮮が不参加。核保有国で参加したのは、NPT非締約国のインドとパキスタンに限られた。

とりわけNPTで核軍縮義務を負っている5大核保有国が、核爆発の非人道的な影響について客観的、科学的に議論することさえ拒否したことは世界を失望させた。

そのため、146カ国と国連などの国際機関、さらにNGO(非政府組織)が集った前回のメキシコ会議では、科学的論議にとどまらず核兵器の非合法化に言及する参加国も多かった。議長総括も非合法化に向けた「外交プロセスを開始する時期が来たことを会議が示したと議長は考える」「行動に移るべき時が来た」と訴えている。

参加者からはこの議長総括について、NPTで核軍縮が進まないようなら、NPTとは別のトラック(交渉の場)をつくろうという考え方を想起させる内容だとの感想も出たほどだ。たとえ核保有国抜きでも核兵器禁止条約の成立をめざすべきとの思いは確かに広がっている。

しかし、一方には核保有国も巻き込んで核廃絶論議を進めるべきとの考え方を主張する国も多い。日本政府もその立場である。核兵器の拡散阻止が難航し、核テロも現実味を帯びている現在、国際情勢を見据えながら、核軍縮を進め、安全保障戦略における核兵器の役割を低減させていく努力を一歩一歩重ねるという考え方も理解できる。

ただ、そのためには核保有国が本気になって核廃絶論議に加わる必要がある。

世界は「別のトラック」だけでなく、核保有国を含むNPTの場で核廃絶をめざす選択肢も持つべきだ。米国の非人道性会議への初参加は、その意味で歓迎したい。

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