e聖学院大学 姜尚中学長の講演(要旨)

  • 2014.11.04
  • 情勢/解説

公明新聞:2014年11月4日(火)付



政治の安定は中道にあり
「次の50年」に向けて第二の飛躍を



姜尚中・聖学院大学学長は、公明党福岡県本部が10月26日に北九州市で開催した「公明党結党50年記念講演会」と、党熊本県本部が今月3日に熊本市で開催した党政経セミナーに講師として招かれ、「次の50年」に向けた公明党の今後の役割について講演した。その講演要旨を紹介する。

日本の政治が右へ左へと揺れる大変な時代に、50年間ぶれずに一貫して「中道」を掲げた政党は、公明党しかない。中道というのは、AとBを足して2で割るというものではなく、いわば"王道を行く"ということだ。そうした政党があって初めて政治は安定してくる。

日本国民の多くは、右や左といった極端なものを望んでおらず、穏健な立場から物事を済ませたいと考えている。そういう大衆的な願望をしっかりと背に受けて、公明党は政治に取り組んできた。政党の主張が左右に分極化し、有権者が選択できなくなってきている中で唯一、「この政党だったら託せる」と言える政党。それが今の公明党の立ち位置ではないかと思う。

与党における公明党が直面した、非常に大きなテーマが集団的自衛権の問題だろう。結果として、安全保障法制整備の基本方針が閣議決定され、武力行使に歯止めをかけることができた。公明党は、人権、福祉の党であり、何よりも平和主義を根幹としている。武力行使の「新3要件」の中に、「国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」と、厳格な歯止めをかける文言が盛り込まれたのは、公明党の平和主義が貫かれたということだ。今後もしっかりと平和の光を灯しながら歩んでほしい。

景気対策については、日銀の企業短期経済観測調査(短観)のような景気動向ではなく、体で実感する「体感経済」が本当の意味で重要だ。そういうセンサーを持っているのが地方議員であり、そこに公明党の強さがある。自民党のように大企業中心ではなく、公明党が中小・零細企業にきめ細かに目配りをしていくことにより、連立与党の大きな意味が出てくる。

直近の課題では、消費税の問題がある。4~6月期の国内総生産(GDP)が年率換算で7%以上マイナスになってしまったのは、予想以上に消費増税が響いたからだろう。こうした中で、さらに消費税を上げるのであれば、軽減税率の問題をクリアする必要がある。その際に公明党らしさを発揮してもらいたい。

また、アジア外交において、公明党は中国や韓国、東アジア諸国との関係構築で先駆的な役割を果たしてきた。日中国交回復の実現に関しても、公明党が大きく貢献した。今後は、まず日韓関係を修復し、両国が歩調を合わせながら、中国と向き合い、近隣諸国として実利に基づいた友好関係を築いていくことが求められている。そうしなければ、日中韓の繁栄はない。公明党の東アジアでの外交における役割は、他の政党と比べて最も大きいと思う。今こそ公明党にその役割をしっかりと果たしてほしいと切に願っている。

いまや、有権者の4割以上が無党派層である。戦後日本の大きな問題点は、政治について本当の意味で考えてこなかったことにある。こうした無党派層にこそ、公明党への支持が広がってほしい。それにより、議員数が増えていけば、自公連立政権の中で、さらに公明党らしさを発揮できる。

自民党と公明党の中で良識的な方々が右に極端にぶれずに、真ん中を保っていく政権が構築できれば、国際社会の中で日本は安定した国として、来年の戦後70年を迎えられるだろう。公明党にはこの気概を持って、「次の50年」に向け、第二の飛躍を遂げていただきたい。

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