eコラム「北斗七星」

  • 2014.11.04
  • 情勢/社会

公明新聞:2014年11月4日(火)付



ランドセルを背負って駆けていたのを昨日のように思い出す。そんな少年が、凛々しい青年党員になっている。結党から50年、父母や祖父母たちが築き上げてきた党の歴史と伝統を、若い世代が継承しているのは頼もしいかぎりだ◆1990年代の政治改革を経て、日本の政治は激変した。自社二大政党時代のような政党間の鋭い対立は見えなくなり、「保守か革新か」「右か左か」というようなイデオロギーの違いや対立は不明確になった◆政党と個人をつないでいた多くの利益団体に往年の存在感はなく、地域で特定の候補者を押し上げてきた共同体の力も弱くなっている。どの党を支持し、誰に投票するのか、多くの有権者は戸惑っている◆北海道大学の吉田徹准教授は新著『感情の政治学』で、海外の調査や研究成果を紹介しながら、親子やカップルの政治的価値観や投票行動が似通ってくることを指摘している。「個人化やプラバシーの原則が社会に浸透すればするほど、逆に人は身近で信頼の置ける人間と志向を同じようにするという逆説が確認される」と論じている◆家族や親しい友人との対話や議論の中でこそ、民主政治は前進する。地域社会で地道な実績を積み重ね、共感の輪を広げていくことが、日本の政治を支え、安定させていく王道である。(山)

月別アーカイブ

iこのページの先頭へ