eプラスチックごみ削減/取り組みの遅れ、どう挽回するか

  • 2018.08.22
  • 情勢/解説
2018年8月22日


プラスチックごみ(プラごみ)による海洋汚染の問題に、日本も本腰を入れて取り組むべきだ。
 「プラスチック資源循環戦略」の策定に向けた環境省の有識者会議がスタートした。戦略には、プラスチック製品の使い捨て削減や再利用を促す方策などが盛り込まれる見通しだ。海洋汚染につながるプラごみの排出をどう抑えるか。議論の行方を注視したい。
 世界ではプラごみ削減への取り組みが加速している。国連環境計画(UNEP)によると、プラスチック製品の生産や使用に対する規制を導入した国や地域は60を超える。
 一方、日本は1人当たりのプラごみの排出量が米国に次いで2番目に多いものの、こうした規制はなく、国際的に出遅れている。
 今年6月の先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)で提起された「海洋プラスチック憲章」には、2030年までにプラスチック包装の最低55%をリサイクルまたは再使用するといった目標が盛り込まれた。
 ところが日本は、国民生活や産業への影響を慎重に検討する必要があると判断し、憲章への署名を見送っている。
 こうした中で環境省が、今回の戦略について、憲章に掲げられた数値目標も含めて議論する方針を示していることは妥当である。来年6月には、わが国でG20が開かれる。取り組みの遅れを挽回し、国際社会でリーダーシップを発揮するためにも、戦略を策定する意義は大きい。
 国内では、大手ファミリーレストランやコーヒーチェーンなどがプラスチック製ストローの廃止を打ち出すなど、民間事業者の間でプラごみ削減への動きが広がっている。戦略には、こうした取り組みを後押しする視点が必要だ。
 消費者の理解と協力を促すことも忘れてはなるまい。例えば、プラスチック容器のデポジット(預かり金)システムである。容器の費用を預かり金として商品価格に上乗せし、消費者が商品購入後に容器を返却すると容器代を返金するというものだ。ドイツなどで導入され、高いリサイクル率を記録している。
 こうした諸外国の事例も参考に、意欲的で実効性のある戦略の策定を期待したい。

月別アーカイブ

iこのページの先頭へ