e日欧EPA署名 保護主義への強固な防波堤に

  • 2018.07.20
  • 情勢/解説
2018年7月20日


自由貿易の価値を国際社会に示す力強いメッセージだ。
約5年の交渉を経て、日本と欧州連合(EU)が経済連携協定(EPA)に署名した。
全世界の国内総生産(GDP)の3割、貿易量の4割を占める巨大な自由貿易圏が誕生する。英国がEUを離脱する2019年3月末までの発効をめざしており、国内手続きを進め早期承認すべきだ。
協定の発効で、最終的に日本は全品目の94%、EUは99%の関税を撤廃する。政府はEPAの発効が日本のGDPを5兆円(約1%)押し上げ、約29万人の雇用創出につながると試算している。
日本にとっては自動車や機械、EU側はワインやチーズの輸出拡大に弾みがつく。双方の消費者や経済活動に恩恵が及び、経済全体の底上げが実現することが期待される。
一方で、欧州産の乳製品や木材などが安く流入し、国内の農林水産業に打撃となるのではとの懸念は根強い。
既に政府は生産コスト削減や品質の向上、経営感覚に優れた担い手育成といった支援を進めている。協定が発効すれば、日本酒や緑茶の関税が撤廃され、「神戸ビーフ」などが欧州でブランドとして守られる。このチャンスを生かし、国産品の魅力を一層磨いて輸出拡大につなげたい。
中国との報復関税の応酬に象徴されるように、米国の自国中心的な通商政策が世界経済の不安要因となっている。こうした中、日欧が一体となって保護主義に対する強固な防波堤を築く意義は大きい。
米国を除く11カ国が署名した環太平洋連携協定(TPP)の新協定や、年内の合意をめざす東アジア地域包括的経済連携(RCEP)と併せ、自由貿易の重要性を世界に示し、多国間が協調する国際秩序の形成に寄与すべきだ。
日本とEUは、安全保障や国際課題で幅広く協力を進めるための「戦略的パートナーシップ協定」にも署名した。
民主主義や人権、法の支配といった共通の価値を持つ日本とEUの連携は、気候変動対策や核不拡散、海洋安全保障など国際社会の安定にとって重要性を増しつつある。
EPAを土台に双方が協力関係を一層強化し、混迷する世界の羅針盤としての役割を果たしたい。

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