eコラム「座標軸」

  • 2018.07.09
  • 情勢/社会
2018年7月8日


コーネリアス・ライアンと聞けば、まず思い浮かぶのが、第2次世界大戦で連合国側勝利の契機となったノルマンディー上陸作戦の全貌を綴った傑作『史上最大の作戦』だろう。ジョン・ウェイン、ヘンリー・フォンダら豪華なキャストで映画にもなった◆20世紀の米国を代表するこの著名なジャーナリストが書き遺した小品に『ライアンのルール』がある。記者たる者が守るべき心構えと規則を列記しており、今も米国のジャーナリズムの常識になっている◆例えば、「質問の60%の答えが分かるまでインタビューをしてはならない」。インタビューに際しては事前に自分でリサーチし、ある程度分かった上で臨め。準備を怠るな。そんな意味だが、どうも近頃、日本のメディア界ではこのルールが忘れ去られているようだ◆過日、歴史作家の大御所から聞かされた。「予備知識ゼロどころか、私の著作を一冊も読まずに質問に来る厚顔無恥な記者もいる。"墜ちたりジャーナリズム"だよ」◆実際、新聞通信調査会の調査によれば、テレビ・新聞への信頼度は今や過去最低。要因の一つに記者のモラルとマナーの低下がある◆本紙記者にも関わる深刻な問題。隗より始めよと、自らに言い聞かせている日々ではある。

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