e海底レアアース泥 貴重な国産資源の開発急げ

  • 2018.07.09
  • 情勢/解説
2018年7月7日


電気自動車やスマートフォン、インフルエンザ薬の生産などに欠かせないレアアース。この希少な金属の供給不足が、世界規模で深刻化している。レアアースを安定的に確保する環境をどう整えるかは、日本にとっても喫緊の課題にほかならない。
この点、政府が第3期海洋基本計画で、国産レアアースの開発を加速する方針を示したことを評価したい。
開発の最有力候補は、日本の最東端に位置する南鳥島の排他的経済水域(EEZ)内の海底に存在し、国内需要の数百年分に匹敵するレアアースを含んだ大量の泥(レアアース泥)だ。今年4月に東京大学の研究チームが存在を突き止めた。
海底のレアアース泥には大きな特徴がある。有害物質をほとんど含まず、大量生産に適していることだ。
これに対し、陸地でレアアースを産出する場合は有害物質対策が大きな課題となる。実際、レアアースの最大産地である中国では、住民の健康被害を防ぐために生産量を抑えており、これが世界的な供給量の低下につながっている。安定供給の面で、日本が海底レアアース泥の開発を進める意義は大きい。
わが国固有の資源として、戦略的に活用する視点も重要だ。例えば、生活必需品のスマホは、画面から電池まで、ほぼ全ての部材が高価なレアアースなしに製造できない。
国産レアアースの安定確保が実現すれば、部材の価格が低下して安価なスマホの生産が可能になろう。先端産業で不可欠なレアアースの一大供給国として、国際社会での日本の存在感を高めることにも貢献し得る。
課題は、大量生産に必要な高額の開発費だ。開発の中心となる民間企業グループの中には、数百億円単位ともされる負担額に二の足を踏むケースも出ているという。
ここは政府による後押しが欠かせない。米国のシェールガス開発では、地下深くの岩の層に資源があるため、開発が当初は困難とされたが、研究開発費の拡充など米政府の支援もあり、約40兆円産業へと成長しつつある。
日本として長期的な展望に立った資源開発を進めるべきである。

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