e働き方改革 残業削減、社会の活力向上へ挑戦

  • 2018.07.02
  • 情勢/解説

2018年7月2日



日本は少子高齢社会の中で労働人口減少に直面している。このほど成立した働き方改革関連法は、労働慣行を一新し、労働者の健康と権利を守ることを通して、経済再生と社会の活力向上をめざすチャレンジである。

同法には、長時間労働や、正社員と非正規社員の間の不合理な待遇差といった"悪しき労働慣行の是正"と同時に、高度プロフェッショナル制度の創設など"多様な働き方を可能にする施策"も盛り込まれた。施行までの期間に十分な準備を進め、この改革を確実に進める必要がある。

生活を支えるだけでなく、生きがいともなる仕事の中で発生する過労死ほどの悲劇はない。同法は、労使の合意があれば実質的に上限がない現状の時間外労働について、初めて罰則付きで上限を定めた。原則として月45時間、年360時間が上限となる。

経済界と労働界の代表も合意した内容で、衆院厚生労働委員会の参考人質疑で労組の神津里季生連合会長は「一刻も早くスタートさせてほしい」と訴えた。大企業は19年4月、中小企業は20年4月から施行される。

また、パートや派遣社員、契約社員などの非正規労働者は雇用者全体の約4割を占めている。しかし、時間当たりの賃金は正社員の約6割程度で、同じ職務に就いていても、賞与や福利厚生など待遇に差があることが問題になっている。これに対し同法は、不合理な待遇差をつけることを禁じる「同一労働同一賃金」も実現した。大企業は20年4月、中小企業が21年4月から施行される。

多様な働き方に関しては、勤務時間ではなく成果で評価される働き方を希望する人のために高度プロフェッショナル制度が19年4月から創設される。

研究開発など職務の範囲が明確で高収入の専門職に限定し、労働時間規制の適用から外す。制度導入には労使双方からなる労使委員会での5分の4以上の賛成と労働者本人の同意が必要で、同意後の撤回も可能にした。労働時間規制の除外を安易に拡大させないようにした意義は大きい。

どれも新しい挑戦である。政府、労使双方とも本気で取り組んでほしい。

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