e2020年 東京五輪・パラリンピックへ

  • 2018.07.02
  • 情勢/国際
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2018年7月1日




大会の盛り上げ支える「ホストタウン」


2020年の東京五輪・パラリンピックの開幕(7月24日)まで、あと2年。全国の自治体では今、事前キャンプや文化交流などで参加国・地域の選手らを受け入れる「ホストタウン」の取り組みが広がっています。それぞれ地元の特色を生かしながら、東京大会の盛り上がりを支える主な自治体の表情を追いました。


海外選手ら受け入れ交流 登録自治体すでに300超


ホストタウンとは、東京大会の開催効果を各地に波及させることを目的に、海外の選手らと自治体の住民との交流を促進する取り組みです。内閣官房が公募し、これまでに305自治体が登録され、受け入れる国や地域は98に上ります。

自治体は参加国の選手らと住民との交流計画を提出し、ホストタウンに登録されれば国が費用の半額を補助します。自治体の知名度アップによる地域活性化のほか、青少年の相互往来など大会後の継続した交流も期待されます。

305自治体の中には、障がい者や高齢者に配慮した街づくりを推進する「共生社会ホストタウン」(13自治体)も含まれます。また、政府は昨年、東日本大震災の復興を支援してくれた海外の人々を、被災3県の市町村に招く「復興『ありがとう』ホストタウン」を新設し、16自治体が登録されています。


徳島県

阿波踊りなど文化体験


独ハンドボール代表 子どもたちに技術披露

ドイツのハンドボール男子代表チームは6月8~14日、ホストタウンである徳島県の招きで来日し、県内で日本代表との国際試合を行い、阿波踊りや茶道などの文化体験のほか、地元小中学生とも交流を深めました。

初日の歓迎会では、地元の阿波踊りグループが太鼓や笛、三味線などを鳴らし、踊りながら入場すると、ドイツの選手たちは大喜び。見よう見まねで手足を動かし、踊りに参加する一コマもありました。

3日目は、選手たちが鳴門市内の小中学生約20人を相手に競技を指導。子どもたちは、世界トップレベルの技術に目を丸くしていました。

徳島県は、東京五輪・パラリンピックの事前キャンプ誘致をめざしており、県民スポーツ課主任の真田太一さんは、「選手たちに環境の良さや文化を体験してもらうことで、ドイツに徳島の魅力を伝えたい」と話しています。

徳島県は、東京五輪・パラリンピックの事前キャンプ誘致をめざしており、県民スポーツ課主任の真田太一さんは、「選手たちに環境の良さや文化を体験してもらうことで、ドイツに徳島の魅力を伝えたい」と話しています。


東京・世田谷区
「共生社会」実現めざしバリアフリーの街づくり


東京都内で初の「共生社会ホストタウン」として登録された東京都世田谷区では、「ボッチャ」などの障がい者スポーツの体験や、障がい者アスリートとの交流を実施しています。

同区は17年度から、誰もが暮らしやすい街づくりの一環として、心のバリアフリーの取り組みを推進。区内商店街の協力店舗を対象に、段差解消用の簡易スロープや筆談ボードなどを試験的に設置しているほか、商店街ごとに協力店名と設置してある物を記入したマップを作製し、障がい者団体へ配布して、利用を呼び掛けています。

利用者からは「暗いと段差が見えず怖かったが、スロープのおかげでその心配がなくなった」などの声が寄せられています。

一方、協力店舗からも「筆談ボードの活用を促す中で、難聴の方とより深いコミュニケーションができた」との声も届いています。


岩手・釜石市
被災地支援に感謝して
豪ラグビー選手を招待 復興の姿も世界へ発信


「復興『ありがとう』ホストタウン」の16自治体のうち、岩手県釜石市は昨年11月、オーストラリアを相手国として登録しました。過去8度の日本一に輝いた「新日鉄釜石ラグビー部」の地元だったことから「ラグビーのまち」として有名な同市。東北で唯一、19年ラグビーワールドカップ日本大会の開催地でもあります。

交流のきっかけは、震災当時、ラグビーの「釜石シーウェイブス」に所属し、15年にオーストラリア代表となったスコット・ファーディー選手。ファーディー選手は震災後、大使館の避難勧奨を断って釜石の復興支援に奔走、住民に勇気と元気を与えました。今年の3月12日には、市の招きで地元高校ラグビー部の練習に参加し、共に汗を流しました。

市の担当者は「震災時の支援に対する感謝の気持ちと教訓を伝えながら、復興の姿を見てもらうために取り組みを続けていく」と語っています。

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