e動き広がる食品ロス削減

  • 2018.05.21
  • 生活/生活情報
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2018年5月20日



「フードバンク」活発に

寄贈された食べ物 困窮世帯や福祉施設へ



まだ食べられるものなのに捨てられる「食品ロス」。世界では年間、食料生産量の3分の1に当たる約13億トンに上っています。日本でも年間約646万トンの食品ロスが発生しており、その量は国連世界食糧計画(WFP)による紛争地域などへの食料援助量の約2倍に上ります。こうした中、食料の確保に困る世帯などに対し、一般家庭や企業から寄せられた食品を無償で提供する「フードバンク」の活動を通じ、食品ロス削減に貢献する取り組みが広がっています。

「この一家は育ち盛りのお子さんがいるから、コメは多めがいいね」「一人暮らしの男性には、調理の手間が少ないものを......」。

山梨県南アルプス市を拠点に県内で活動する認定NPO法人フードバンク山梨(米山けい子理事長)。生活困窮世帯など食品配送先の情報が記載された確認表を手に、スタッフがコメや缶詰、カップラーメン、菓子などを手際よく段ボール箱に詰め込んでいました。フードバンク山梨では、1回当たりに届ける食品の内容は基本的なパターンが決められていますが、家族構成や性別、年齢などに応じて、内容や量を変更しているそうです。

スタッフの中山真由理さんは、「受け取った人が笑顔になる光景を思い浮かべながら、食品を詰めています」と話していました。


余剰在庫や販売期限切れを活用


フードバンクとは、▽賞味期限が迫っている▽パッケージの破損や汚れ▽余剰在庫▽販売期限切れ――などを理由に、安全でも商品として扱われない食品を一般家庭や企業から寄贈してもらい、主に生活困窮世帯や福祉施設に無償で届ける取り組みです。

フードバンクの活動は、1967年に米国で始まり、フランスやカナダ、英国、オーストラリアなど世界各国に広がっています。農林水産省によると、日本では2017年1月末現在、77団体が活動しています。

フードバンク山梨は、08年にボランティア団体としてスタート。以来、県内で生活保護を受給していない生活困窮者らに食料支援を続け、17年度は約4000箱分の食品を届けました。また、食品の寄付を広く呼び掛けており、おおよそ1カ月以上賞味期限があり、未開封の食品や根菜類で日持ちする野菜などを受け付けています。

15年からは、給食のない夏休みや冬休みに子どものいる世帯を集中的に支援する「フードバンクこども支援プロジェクト」も実施。米山理事長は「フードバンクを生かせば社会全体で子どもを支援できる。国民全体の運動につながってほしい」と語っていました。


拠点で直接個人や家族に提供も


首都圏を中心に活動する認定NPO法人「セカンドハーベスト・ジャパン」(マクジルトン・チャールズCEO)は00年に活動を始め、02年に日本で初めて法人化されたフードバンク活動団体です。生活困窮者らの食のセーフティーネット(安全網)の構築をめざし積極的に活動。02年当時の食品取扱量は30トンでしたが、17年は2080トンまで規模を拡大しています。

近年は宅配での食品提供以外に、セカンドハーベスト・ジャパンの拠点で直接、個人や家族に食品を提供する「パントリーピックアップ」を展開するなど、活動の幅を広げています。


消費者の意識変える取り組みこそ

国連食糧農業機関(FAO)駐日連絡事務所所長 チャールズ・ボリコ氏


世界で大量に発生している食品ロスは、消費者の行動が大きな影響を及ぼしています。

例えば、外見や鮮度への厳しい要求を満たすため、まだ食べられる食品が廃棄されたり、賞味期限を少しでも過ぎれば食べられないと思い込むなど、"簡単に食料を捨てる習慣"が根強く残っています。消費者の段階で廃棄を減らしていくには、消費者の意識を変える息の長い取り組みが欠かせません。

世界に目を向けると、フランスでは2016年、400平方メートル以上のスーパーで売れ残った食品の廃棄を禁じる法律を制定。イタリアでも、企業で廃棄される食品を慈善団体に寄付することを法律で奨励しています。

日本では、公明党が「食品ロス削減推進法案」を取りまとめ、今後、国や地方自治体、事業者などが担うべき責務や役割が明確化されています。この分野において、公明党がイニシアチブ(主導権)を発揮されることを期待しています。

特に、法案の中で食品ロス削減に関する教育の充実を訴えた点は重要です。「もったいない」という言葉の発祥地でもある日本こそ、国民一人一人に食品ロスの現状を知る機会が増えれば、状況は好転していくでしょう。削減に向けた日本の力強いリーダーシップを期待しています。


公明、推進法制定へ全力


公明党は食品ロス削減への取り組みを強化するため、2015年12月にプロジェクトチーム(座長=竹谷とし子参院議員)を設け、関係団体からの聞き取りや調査活動を精力的に実施してきました。

現場の声を基に、政府に対して提言を申し入れたほか、食品ロス削減推進法案(議員立法)の取りまとめを進めています。

現在、各党と協議している同法案(骨子案)は、食品ロス問題について、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」で食料廃棄の半減が定められていることを踏まえ、自治体や事業者、消費者が一体となり削減を推進する内容です。

具体的には、関係大臣や有識者で構成する「食品ロス削減推進会議」を内閣府に設置し、基本方針を策定。この方針を基に、都道府県と市町村は削減推進計画を定め、対策を実施します。

消費者や事業者に対しては、食品ロス削減に向けた理解や関心を深める教育・学習振興に加え、知識の普及・啓発に取り組みます。

また、削減に顕著な功績を上げた人や団体を表彰するほか、10月を「食品ロス削減月間」に設定。フードバンク活動への支援なども盛り込まれています。

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