e柔軟な働き方へ改革

  • 2018.04.11
  • 政治/国会
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公明新聞:2018年4月11日(水)付



関連法案 国会に提出 残業に罰則付き上限
非正規 不合理な待遇差 解消へ
党雇用・労働問題対策本部長 佐藤茂樹衆院議員に聞く



政府が今国会の最重要法案と位置付ける働き方改革関連法案が6日、閣議決定を経て国会に提出されました。公明党の主張も随所に反映された同法案のポイントについて、党雇用・労働問題対策本部の佐藤茂樹本部長(衆院議員)に聞きました。


健康確保など公明の主張反映


――法案の意義は。


佐藤 働く人の心身にわたる健康を守り、多様で柔軟な働き方を可能にするとともに、雇用形態にかかわらない公正な待遇を確保することが目的です。

特に長時間労働については、近年、大手企業の社員が過重労働により自ら命を絶つ事件なども起きており、是正を急がなければなりません。

同時に、働く一人一人がより良い将来の展望を持てるようにするには、性別や年齢、病気・障がいの有無、子育てや家族の介護など、それぞれの状況に応じた働き方を選べる社会を築くことが重要です。これは、人口減少・少子高齢化が進むわが国において、社会・経済両面で活力を維持し高めていくためにも大切です。

公明党は以前から、ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の改善を推進してきました。今回の法案についても「働く人の立場」に立って政府に度重なる提言を行い、提案を随所に反映させました。


――公明党の主張が反映されたポイントは。


佐藤 特に(1)時間外労働の上限規制(2)勤務間インターバル制度(3)同一労働同一賃金――の3点で、いずれも画期的です。

時間外労働については労働界と経済界の合意の下、1947年の労働基準法制定以来、初めて罰則付きの上限規制を創設します。労使が合意すれば何時間でも残業できてしまう現状を改め、時間外労働の限度については月45時間、年360時間を原則とし、臨時的な特別の事情があっても年720時間、1カ月では休日労働を含めて100時間未満などに抑えます。

退社から出社まで一定の休息時間を確保する勤務間インターバル制度は、これまで法令による規定がありませんでしたが、今回、企業の努力義務として盛り込ませることができました。
同一労働同一賃金の実現に向けては、正社員と非正規労働者の不合理な待遇差を禁止し、企業には待遇差に関する説明を義務化するなどの規定を設けます。


中小企業の状況に配慮


――高収入専門職を労働時間規制の対象外とする高度プロフェッショナル制度を導入する理由は。


佐藤 時間ではなく成果で評価される働き方を希望する人のニーズなどに応えるためです。職務の範囲が明確で年収が1075万円を上回る労働者に限って導入します。想定される業務は金融商品のディーリング(取引)業務や研究開発業務などです。

制度の導入には、経営側と労働者側の半々で構成される労使委員会での5分の4以上の賛成と、労働者本人の同意が必要です。日本労働組合総連合会(連合)の要望を反映し、健康確保のために年104日以上かつ4週間を通じて4日以上の休日確保なども義務付けられます。


――法案には当初、裁量労働制の対象拡大などが含まれていましたが、同労働制の労働時間に関する厚生労働省のデータ不備を受けて削除されました。


佐藤 性格の異なるデータを比較するなど、厚労省が行ったことは極めて不適切であり、政府には猛省を促したい。

その上で公明党は、現行の裁量労働制適用者を含む労働者の健康を守る観点から、3月15日に厚労相へ緊急の申し入れを行いました。その結果、労働者の労働時間の状況の把握が、事業者の義務として法案に明記されることになりました。

併せて、公明党の要望により、時間外労働の上限規制の導入に当たって、中小企業の状況に一層、配慮することや、特定の時期に作業が集中する鹿児島、沖縄両県の製糖業での規制実施を法施行5年後へと延期することも決まりました。


――公明党として、法案審議にどう臨みますか。


佐藤 70年ぶりの歴史的な大改正であることから、国民の疑問を払拭する丁寧な議論が重要です。審議を通じて国民の理解が深まり、今国会で法案が成立するよう力を尽くします。

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