e天候不良 サトウキビに大打撃

  • 2018.03.22
  • 情勢/解説

公明新聞:2018年3月22日(木)付



濵地氏、みやのはら町議ら調査
鹿児島・徳之島町



鹿児島県の奄美群島や種子島などで、収穫期を迎えたサトウキビの糖度が日照不足など天候不良で戦後最低水準となり、農家に衝撃を与えている。現状を調査するため、公明党の濵地雅一衆院議員は18日、サトウキビ畑の栽培面積が県内で最も広く、生産量が多い徳之島を訪れ、農家の窮状に耳を傾けるとともに、サトウキビ畑を調査した。これには、成尾信春・党県本部代表(県議)、みやのはら順子・徳之島町議(町議選候補=25日投票)が同行した。


糖度が戦後最低に 島の経済守る支援策 急務


県農産園芸課によると、今シーズンのサトウキビの県平均糖度は11.86度。戦後最低だった2004年の12.57度を下回っている。

「サトウキビは島にとって最も大切な作物。糖度が1度下がるだけで全体の生産額が億単位で変わってくる。採算が合わず赤字の可能性が高い」。サトウキビ農家の保与名夫さん(85)はため息をついた。

徳之島、伊仙、天城の3町で構成される徳之島は、奄美大島などに比べて平地が多く、栽培面積も広い。徳之島の7割の農家がサトウキビに従事している。経済波及効果を含めると、サトウキビが島の収入の3割超を占めている。

濵地氏ら一行はこの日、保さん、息子の博章さん(64)の案内で徳之島町亀津のサトウキビ畑を視察。青空の下、緑が広がるサトウキビ畑の中に、潮風の影響で茎が茶色く変色したサトウキビがあちこちに点在していた。

昨年10月の台風や同11月以降の低温、日照不足が続いていたことで保さんは収穫を心配していた。肥料代も例年よりかさむ一方、強風で根元が折れた茎を立ち上がらせるのも一苦労だったという。

サトウキビは鹿児島、沖縄の両県が国内生産のほぼ全てを担っている。島々の経済を支える基幹作物だ。奄美群島の特産品として知られる純黒糖は原料として、ほとんど現地のサトウキビを使用。また、刈り取りに使われる「ハーベスター」の代金返済も農家に重くのしかかる。

一方、島内の製糖工場の社員も「糖度の低下で黒糖の品質が下がるため、サトウキビを原料にした商品の価格設定も見直さないといけない」と語る。

台風や天候不順で、サトウキビの生育が芳しくないときに活用される「甘味資源作物安定生産体制緊急確立事業」の助成金も昨年の日照不足への対応で、すでに底を突いている。 

調査後、濵地氏は「サトウキビ農家の救済に向けて、奄美群島振興開発特別措置法(奄振法)の交付金が活用できるよう、政府に訴えていく」と約した。

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