eコラム「北斗七星」

  • 2018.03.08
  • 情勢/社会

公明新聞:2018年3月8日(木)付



「西郷を止めた男」との文字に目が留まった。高知県四万十町の観光パンフレットで紹介していたのは、同町出身の軍人・谷干城。1877(明治10)年の西南戦争で、西郷隆盛の軍勢と戦い、熊本城を死守した人物だ◆同町では、郷土の偉人を知ってもらおうと、谷の生涯を描いた街頭ミュージカルを18年前から毎年開催し、等身大のフィギュア像も今月下旬にお目見えする。大河ドラマ「西郷どん」にもぜひ登場してほしい◆幕末の知られざる偉人に、現四万十市出身の樋口真吉がいる。土佐西部の勤王党のリーダーで、坂本龍馬の脱藩直前、樋口が日記に書き残した「坂竜飛騰」の四文字は、その後の龍馬の活躍を見抜いていたといわれる◆同市では、この人物に光を当てようと、「樋口真吉顕彰会」が発足、公明市議が会長になった。歴史に埋もれた偉人の発掘は、愛着と誇りを生む郷土学習や、観光資源の発信にもつながると期待したいが、樋口は「龍馬が最後に頼った男」としても興味深い◆暗殺1カ月前の龍馬の手紙には、「今いる近江屋が危ないことは分かっている。樋口真吉に安全な隠れ家を探すよう伝えてほしい」と。この頼みは届かず、龍馬は暗殺された。「歴史にif(もしも)はない」というが、もし届いていたら...と、想像したくなるのも歴史の面白さか。(祐)

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