e有期社員の無期転換  手続き方法など丁寧に周知を

  • 2018.02.16
  • 情勢/解説

公明新聞:2018年2月16日(金)付



雇用の安定を一層進める好機としたい。

契約社員やパート、アルバイトなど、期限を定めて締結された有期雇用契約の労働者を対象にした、無期転換ルールの運用が4月から本格的に始まる。

同じ職場で通算5年を超えて働いた労働者本人が企業に申し込めば、無期限の雇用契約に転換できるというもので、企業はこれを拒むことができない。

このルールは、2012年に成立した改正労働契約法に基づくものだ。08年のリーマン・ショックの際、企業から契約を打ち切られる「雇い止め」が社会問題化したことが契機となった。

労働政策研究・研修機構の調査では、企業の6割以上がすでに無期雇用への切り替えに備えていると答えた。人手不足に悩む企業にとって、人材確保の点でメリットは大きい。また、新たなルールは雇用の安定だけでなく職場でのキャリア形成にもつながるだけに、多くの働き手が期待を寄せているに違いない。

気になるのは、具体的な手続き方法などについての理解が進んでいないことだ。

例えば、無期転換の申し込みは、口頭で行っても法律上は有効だが、労使間でトラブルになりやすいので、意思を表示する書面での申し込みが推奨されている。

しかし、日本労働組合総連合会(連合)の調査によると、有期雇用労働者の84%が「内容までは知らない」と回答している。このため厚生労働省は、今月13日に全国統一番号の相談ダイヤル(〓0570―069276)を開設するなど、対応に努めている。企業側も対象者への丁寧な周知を心掛けてほしい。

無期転換を希望する労働者の中には、正社員をめざす人もいれば、これまで同様の勤務時間や勤務内容を望む人もいるであろう。事前の十分な意見交換や新しい就業規則の整備なども企業側には求められる。

見逃せないのは、新しいルールの適用を前にして勤務期間が通算5年以下の労働者を「雇い止め」にするケースが増えつつあることだ。有期労働者が安易に切り捨てられることがないよう、国は監視の目を光らせてほしい。

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