e生活困窮者の住まい 暮らしのサポートも欠かせない

  • 2018.02.13
  • 情勢/解説

公明新聞:2018年2月13日(火)付



生活困窮者に対する「住まい」の安全・安心の確保が急務だ。

政府は9日、生活保護法など4法をまとめた「生活困窮者自立支援法等改正案」を閣議決定した。無料低額宿泊所の質を確保することが柱の一つである点に注目したい。

同宿泊所は、社会福祉法に基づき、生活困窮者に無料または低額で提供される宿泊施設である。生活困窮者の多くは、家賃滞納の懸念から賃貸住宅への入居を断られることが多く、同宿泊所は、その受け皿として広がっている。

一方、同宿泊所は、劣悪な施設に受給者を囲い込み、生活保護費の大半を利用料として搾取する「貧困ビジネス」の温床とも指摘される。

この点について改正案では、宿泊事業開始前に自治体へ届け出ることを義務付けた。生活困窮者の弱みにつけ込むような施設が出ないよう厳しいチェックが必要である。

防火態勢も強化する。現在、同宿泊所の設備・運営基準は、消火器の設置や部屋の広さなどに関する指針を定めているが、法的な強制力はない。このため改正案では、法定の最低基準を新たに設け、自治体による改善命令を出せるようにする。

これら改正案の内容はいずれも、無料低額宿泊所の規制強化を訴える公明党の意見を反映したものだ。

先月末には札幌市で、生活保護受給者らが入居する共同住宅が全焼し、11人が犠牲となった。この住宅は無料低額宿泊所の届け出がなかったが、こうした施設や同宿泊所など生活困窮者の住まいの受け皿について、安全性を一層向上させるべきである。

その上で重要なのは、1人で日常生活を送るのが難しい生活困窮者をいかにサポートしていくかであろう。

そこで改正案では、公明党の主張を受け、適切な生活支援サービスを提供できる無料低額宿泊所を優良施設に認定し、福祉事務所の生活支援事業を委託できる仕組みを設ける。サービスに必要な経費は福祉事務所から委託費として支給される。

家事や買い物などに手助けが必要な高齢者らを支えるには、欠かせない取り組みといえよう。

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