eコラム「北斗七星」

  • 2018.02.06
  • 情勢/社会

公明新聞:2018年2月6日(火)付



仕事をしたい人が100人いれば、150件の求人がある―2017年の有効求人倍率は年平均1.50倍と、44年ぶりの高水準だった。実質的には、ほぼ完全雇用状態と見なされる。働く側にとって、歓迎すべき状況になっていることは間違いない◆その安心感につけ込んでというわけか、虚偽求人が問題化している。16年度にハローワークで扱った求人票のうち、記載内容と実際の労働条件に隔たりがありトラブルとなった事例は9000件に上る。厚生労働省は職業安定法を改め、1月から虚偽の募集情報を出した企業に対して刑事罰の対象とした◆詐欺まがいの話がもう一つある。1970年代以降に社会問題化した原野商法である。その二次被害がこのところ急増している。価値の付かないような山林や原野を売り付けられた人、その土地を相続した人がトラブルに遭っている◆高値で買い取ると言いつつ、実は新たな原野の購入を契約させられたなどの手口が特徴らしい。二次被害の年齢層は70歳台が最も多いとか。子どもに迷惑を掛けたくないとの思いにつけ込んでいる◆悪知恵は、いつの時代もなくならないと言っては身もふたもない。人を陥れることに費やすエネルギーを、人が喜ぶことに使ったらどれだけ世の中が変わるだろうと、つい前のめりになる。(広)

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