eコラム「北斗七星」

  • 2018.01.19
  • 情勢/社会

公明新聞:2018年1月19日(金)付



鎖で宙につるした器は、中身が空なら傾き、水を程よく入れると水平を保つ。しかし、溢れるほど注ぐと、ひっくり返る。古代中国、魯の国を治めた桓公は座右に置いて、慢心を戒めたという。「宥座の器」である◆通常国会が22日召集される。安倍晋三首相は「働き方改革国会」と位置づけた。働き方が焦点になる背景の一つに、人口構成の変動がある。推計によると、2050年には「生産年齢人口」が、今より約2500万人減るという◆人材を確保する企業の競争は過熱する上に、社会へのインパクトも大きい。高齢者は増え続け、医療や介護の費用が膨らむ。制度の担い手が細り、支出が膨張する時代に、社会保障制度は踏ん張れるのか。漠然とした不安が国民の中にある。安心できる将来ビジョンの提示は政治の責務だ。各党が、通常国会で制度設計を競い合ってもらいたい◆まずは、昨年1度も開かれなかった党首討論の開催である。代表質問や予算委員会などでも、多様な視点から議論を掘り下げれば、一定の方向性を見出せるのではないか。政府・与党には宥座の器を思い浮かべ、幅広い意見を受け入れる度量を期待したい。野党側も、周縁的な政策論議や揚げ足取りのような議論を控えてほしい◆言論の府も、論戦=働き方の中身を見直す好機かもしれない。(明)

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