eコラム「北斗七星」

  • 2018.01.17
  • 情勢/社会

公明新聞:2018年1月17日(水)付



駆け出し記者時代は大阪で過ごした。当時、先輩から「東京と比べれば、関西はほとんど揺れないぞ」と肩をたたかれた。確かに過ごした3年半、体に感じた地震はあまり印象がない。震度2程度でも、びっくりしていた◆関西の地を離れてほぼ3年後、「1.17」が発生し、現地発の報道に加わった。交通インフラは軒並み甚大な影響を受け、JR、私鉄とも寸断された。取材拠点の大阪から神戸には毎朝、天保山から船で入っていた◆阪神・淡路大震災を経た後も、人々の間には、まだ地震は特定の地域で起きるものとの漠然とした認識があったはずだ。その後も国内各地で大規模な地震が相次ぎ、さすがに今では、いつどこで地震があってもおかしくないとの意識が共有されるようになっている◆国内各所には活断層がある。数十年以内に大きな地震が発生する確率も具体的に示されている。その上で専門家は、こうした予測はできるものの、現状ではいつ起きるのかという予知までは難しいと指摘する◆私たちは歴史の教訓に学ぶことができる。一方でその事実を簡単に忘れてもしまう。今この時に、大地震が起きたら、わが地域はどうなるのか。果たして、いざという時の備えは十分だろうか。23年前を風化させないためにも、今日は思いを巡らす一日にしたい。(広)

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