e生活保護の見直し

  • 2017.12.27
  • 情勢/経済

公明新聞:2017年12月27日(水)付



桝屋敬悟・党厚労部会長に聞く
公明主張で影響緩和策
大学進学時の一時金など子育て世帯の支援充実も
公平性の確保が目的 減額ありきではない



政府は18日、2018年秋から生活保護の基準を見直す方針を決めました。見直しの理由や公明党の取り組みについて、党厚生労働部会の桝屋敬悟部会長(衆院議員)に聞きました。

――なぜ見直すのか。

生活保護制度では、生活保護を受けていない一般の低所得世帯との公平性を確保するため、衣食その他、日常生活に充てる「生活扶助」の基準額を5年ごとに検証しています。見直しは、この検証を受けたものです。

今回の検証では、世帯の類型によって基準額が、一般の低所得世帯の生活水準より高い場合も低い場合もありました。見直しは、こうしたバラツキを是正するものです。必ずしも"減額ありき"ではありません。

しかし、検証結果をそのまま当てはめると、都市部では生活扶助が最大13.7%減となるケースもあり、生活に大きな影響を与える恐れがあるため、審議会の委員からも懸念の声が出ていました。このため公明党は、減額幅の上限を定めるなどの緩和策を強く要望。子どもがいる世帯への十分な配慮も求めました。

――どうなったのか。

見直しの方針では、生活への影響を緩和するため、生活扶助費本体、母子加算などの合計の減額幅を最大5%にとどめ、18~20年の各10月の3段階に分けて実施することが示されました。これにより、多人数世帯や都市部の高齢単身世帯などの基準額が下がるケースでも来年の減額が小さくなります。また、地方の高齢夫婦世帯や母子世帯は引き上げになる場合もあり、母子世帯など子どもがいる世帯の半数以上で最終的に増額になると見込まれます。

――子どもがいる世帯は。

生活扶助のうち、子どもがいる世帯に対する加算については、費用の必要性や金額の根拠が不明確との指摘があり、厚労省で検討が行われてきました。

ひとり親世帯に対する母子加算は、ふたり親世帯と同程度の生活を送るために必要な消費支出を検証。その結果、現在の月平均約2万1000円(子ども1人の場合)が18年10月から段階的に見直され、子育ての上で、仕事や家事を1人でこなすひとり親であるが故にかかる費用に対するものとして、20年10月に平均で月1万7000円となります。

子どもがいる世帯への児童養育加算は現在、3歳未満は月1万5000円、3歳以上から中学生は同1万円ですが、来年10月からは、子どもが学校外でさまざまな経験をするための費用として、対象を高校生までに広げ、一律で同1万円となる予定です。

一方、生活保護世帯の子どもが大学などに進学した際の支援として、公明党の提案で18年度入学者から一時金が支給されることとなりました。また、自宅から通学する場合の住宅扶助の減額は行いません。高校生までの支援についても、成長に応じた制服の買い替えや、複数回の高校受験に対応する費用が支給される予定です。

――生活保護に至る前の支援も重要だ。

その通りです。このため厚労省は、公明党の推進で18年度から、生活困窮者自立支援制度の自立相談支援、家計相談支援、就労準備支援を一体的に行う自治体に対する補助率引き上げなどを実施する方針です。

公明党は生活保護制度のセーフティーネット(安全網)機能を守るとともに、生活困窮者を早期に発見し、一人一人の状況に応じ、必要な支援につながるよう、今後も力を尽くします。

なお、具体的な生活保護費は年齢や世帯構成、お住まいの地域によって異なります。詳しくは福祉事務所など行政の担当にお問い合わせください。

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