e税制で事業承継支援

  • 2017.12.08
  • 情勢/経済
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公明新聞:2017年12月8日(金)付



公明、抜本拡充を強く訴え

自社株の引き継ぎ 負担実質ゼロに

廃業増加に歯止めかける

斉藤鉄夫・党税調会長に聞く



公明党は2018年度与党税制改正大綱の取りまとめに向け、高齢化が進む中小企業経営者の代替わりを支えるため、相続税や贈与税の納税を猶予する事業承継税制の思い切った拡充を強く訴えています。党税制調査会の斉藤鉄夫会長(幹事長代行)に、公明党の主張などについて聞きました。


◎相続税100%猶予

◎雇用要件の抜本見直し

◎適用対象者の範囲拡大

◎引き継ぎ後の負担減らす


――自民、公明の与党両党で、事業承継税制の拡充が議論されています。


斉藤鉄夫税調会長 今後10年間で、団塊の世代をはじめ、多くの中小企業経営者が引退平均年齢の70歳を超えます。既に、黒字経営にもかかわらず、後継者がいないため廃業に追い込まれる企業が増え始めており、これが続けば日本経済にとって大きな打撃です。事業承継支援は待ったなしで、集中的に対策を講じなければなりません。


――具体的な対策は。

斉藤 公明党の主張のポイントは、大きく4点あります。

一つ目は、自社株を後継者に引き継ぐ際の相続税納税猶予割合を100%にして、後継者の負担を実質的にゼロにします。

現行制度では、発行済み株式総数の3分の2を上限に、相続税の8割が納税猶予の対象です。この制度では、実際に猶予されるのは53%程度(3分の2×0.8)にとどまります。まずは、この点を改善します。

二つ目は、厳格な雇用要件の見直しです。納税猶予を続けるための条件として、現行では5年間で平均8割の雇用維持が必要です。いったん納税が猶予されても要件を守れなくなれば全額納付が必要です。人手不足もあり、中小・小規模事業者からは「こうした要件は時代に合わない」との声が上がっています。

三つ目は対象者の範囲拡大です。現在は、経営者1人に対して後継者1人にしか納税猶予が認められていないため、経営者とその配偶者からの承継や、複数人に承継できる制度を求めていきます。

四つ目は、承継後の納税負担の軽減を図ります。

現行制度では、事業を引き継いだ後に会社を譲渡、解散する場合には、事業を引き継いだ時点の株価に基づいて計算された税額の納付が求められます。しかし、納税が猶予されている間に株価が下がる可能性があるため、承継時ではなく譲渡・解散時の株価で税額を計算し直して、その差額を減免。納税に関する経営者の将来不安やリスク(危険性)の最小化を図ります。


――税制以外の支援策も重要です。


斉藤 早期かつ計画的な事業承継を促すため、経営者の"気付き"の機会を増やすことに加え、ワンストップ(1カ所)で中小企業の相談に応じる「よろず支援拠点」や「事業引継ぎ支援センター」の体制強化も進めていきます。

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