e最先端のがん治療 来秋から

  • 2017.11.29
  • 情勢/テクノロジー

公明新聞:2017年11月29日(水)付



大阪重粒子線センター

患者の体の負担軽く

病巣部だけに照射

推進役の府議会公明党が視察



大阪市中央区にある大阪府立病院機構「大阪国際がんセンター」の隣接地に現在、最先端のがん治療施設として「大阪重粒子線センター」の建設が進められている。患者の体への負担が少ない重粒子線治療施設の開設を一貫して推進してきた大阪府議会公明党(八重樫善幸幹事長)は20日、加速器が試験運転を始めた同センターを訪れ、治療室などを視察した。


難治性への効果も期待


鉄筋コンクリート3階建ての設備工事は来年3月に完了。その後は、薬事承認を得るための作業を継続し、来年秋には治療が開始される。敷地は今年3月末にオープンした大阪国際がんセンターの隣接地を借り、施設の開設・運営は民間の公益財団法人大阪国際がん治療財団が担う。実際の治療に当たっては、大阪国際がんセンターと連携して進める計画だ。

重粒子線センターでは、巨大な加速器を使って、炭素イオンを光速の70%まで加速。エネルギーを高めた炭素イオンを病巣部にピンポイントで当てるための照射装置を3つの治療室に連動させた形になっている。

重粒子線は、体の表面に一番強いエネルギーで当たるX線などと違い、体の浅いところでは線量が低く、一定の深さに達すると線量が高くなり、それより奥へは進まない特徴を持っている。

このため、エネルギーのピーク位置を調整することで、がんの病巣部にだけ集中して照射することができ、正常な細胞を傷つける副作用が少ないという。外科手術では切除しにくい体の奥にあるがん、すい臓がんなど難治性のがんにも効果が期待されている。


仕事しながら外来OK


府議会公明党は、この画期的ながん治療法に早くから着目し、毎年の予算要望や定例会質疑の中で重粒子線治療施設の早期開設を迫り、府側から前向きな答弁を引き出していた。また、今年10月定例会の代表質問では、重粒子線治療が標準治療となっている一部のがんを除き、患者の治療費負担が高額になる課題の解決をめざし、負担軽減のための財政的な支援策の創設も提唱。現在、府が複数の金融機関と連携し、具体策の検討を進めている。

溝江純悦センター長は「重粒子線治療は、手術を必要としない上に痛みもなく、1回の治療が1時間前後の比較的短い時間で済むため、仕事や日常生活を続けながら外来での治療も可能だ。ぜひとも普及させていきたい」と強調していた。

八重樫幹事長は「重粒子線治療としては大阪初の施設だ。患者の経済的負担を減らす取り組みにも力を注ぎたい」と応じていた。

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