eデフレ脱却 官民挙げて"人への投資"さらに

  • 2017.11.22
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年11月22日(水)付



日本経済の再生にとって最重要課題であるデフレ脱却が見えてきた。この機を逃さないよう必要な手を打ち続けていく必要がある。

内閣府は16日の経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)で、「デフレ脱却に向けた局面が変化している」との認識を示した。

その理由として内閣府は、需要と供給のバランスを示す「GDPギャップ」が昨年末にプラスに転じたことを挙げている。これは需要が供給を上回っていることを意味しており、物価を押し上げる要因となる。

加えて、企業間の取引価格を示す企業物価が上昇を続けていることや、2013年以降の企業収益が過去最高を更新していることも内閣府は重視している。

いずれの指標からも、物価が持続的に下落するデフレから脱しつつあることが分かる。こうした局面変化を確実なデフレ脱却にどうつなげていくか。日本経済は正念場を迎えているといえよう。

カギを握るのは、個人消費の活性化による内需拡大である。

物価は上昇局面に転じようとしているが、企業物価の上昇は石油など資源価格のアップによる影響が大きい。消費者物価を見てもエネルギーを除くと伸び率は鈍化する。今必要なのは、個人消費が景気押し上げの主役となるための手だてにほかならない。

まずは一層の賃上げによる所得増が求められる。

安倍首相は来年の春闘に向け、経済界に対して3%の賃上げを要請した。深刻な人手不足に直面している企業にとっても、賃上げは人材確保につながるメリットがあるはずだ。積極的に取り組んでほしい。

幼児教育の無償化をはじめ、連立政権が進める教育費負担の軽減にも注目したい。

次代を担う子どもたちが、家庭の経済的な理由にかかわらず希望する教育を受けられるようにすることは、少子高齢社会に突入したわが国の最優先課題である。同時に、子育てに関する家計の負担を軽減すれば、消費喚起につながることも期待できる。

官民を挙げて"人への投資"に知恵を絞り、デフレ脱却を果たしたい。

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