e熊本地震1年7カ月 盲ろう者の暮らし守れ

  • 2017.11.15
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年11月15日(水)付



「外出の喜び奪わないで......」

公明県議が橋渡し 通訳・介助員派遣費削減で

関係団体ら県へ陳情



熊本地震からの創造的復興を加速させる予算を捻出するため、各部局の今年度予算の削減に取り組んだ熊本県。これにより、目と耳が不自由な盲ろう者のための通訳・介助員の派遣事業費も縮小され、利用者から不安の声が上がっている。先ごろ、公明党県議団の城下広作議員の橋渡しで関係団体による県への陳情が実現。盲ろう者を取り巻く実情が浮き彫りになった。=熊本地震取材班

「すでに(通訳・介助員の派遣依頼の際に必要な)チケットを使い切ってしまった。一人で自由に出歩けないので、じっと家にいることしかできない」

熊本県庁新館の一室。「熊本盲ろう者夢の会」の園田秀一副会長(67)が、奥山晃正・県障がい者支援課長らに手話で思いをぶつけた。

同会は当事者や通訳・介助員で構成され、園田副会長も盲ろう者の一人。生まれながらにして耳が聞こえず30歳代で失明。外出する際は通訳・介助員の付き添いが欠かせないという。

通訳・介助員が手のひらに文字を書く「手書き文字」で情報を得ている古賀みどり会長(66)は、「このままでは盲ろう者が音も光もない世界で家の中に閉じこもってしまう。私たちも健常者と同様、楽しく生きる権利があるはず。外出する喜びを奪わないで」と、涙ながらに訴えた。

県によると、派遣事業を利用している盲ろう者は4人(11月6日現在)。頼みの綱である通訳・介助員は、都道府県事業の養成講座を受講した意思疎通支援の専門家。派遣時間は健康管理に配慮して1日8時間までと定められている。

とはいえ、派遣内容によっては、8時間を超える場合でもボランティアで支援する事例も少なくない。こうした実態に派遣事業費の削減が拍車を掛けているのも事実だ。「心から頼りにされている以上、チケットが足りなくなった利用者を善意で支援せざるを得ないケースが増えている」。同会会員の前川千里さん(65)は、通訳・介助員の立場から予算の見直しを求めた。

こうした切実な声を後押しするように城下議員は、「県が現実に即した予算化を行うためにも、今後も利用者の声を聞く場を設けていくべき」と提案。奥山課長は、「皆さんの要望を聞きながら事業内容や予算の改善に努力したい」と、定期的な意見交換を行っていく考えを示した。

発災当初に自力で避難できなかった盲ろう者も、健常者と同じ被災者として、熊本地震から1年7カ月の歳月を懸命に生きてきた。

復旧・復興が進む傍らで取り残されがちな当事者の"小さな声"。陳情の場で古賀会長が語った「私たちを社会から切り離さないで......」との願いに、公明党は寄り添い続けていく。

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