e食品廃棄物を飼料に活用

  • 2017.11.09
  • 情勢/テクノロジー

公明新聞:2017年11月9日(木)付



環境、農水省主催 リサイクル普及へ見学会

石田政調会長ら参加

長崎市



「食品ロス」削減に向け、食品廃棄物を家畜飼料や肥料にリサイクルする先進的な取り組みを知ろうと、長崎市内でこのほど、環境、農林水産両省主催のセミナーが開催され、平木工業株式会社(平木實男社長)の見学会が行われた。同セミナーは、公明党長崎県議団の麻生隆団長が県内での開催を関係機関に働き掛け実現。行政や企業、農家の関係者ら約80人が参加し、石田祝稔政務調査会長と党食品ロス削減推進プロジェクトチーム(PT)の河野義博事務局長(参院議員)も駆け付けた。

「保存性も栄養素も高い上に、飼料コストの削減にも期待できる」。食品リサイクルで製造された家畜飼料の特長を、平木工業の平木社長は見学会で参加者に力説した。

同社はこれまで、食品廃棄物をリサイクルして堆肥を製造し、県内の農家に提供してきた。2015年8月、経済産業省の補助金を活用して液体飼料プラントを設置し、県内のスーパーやレストランで出た食品廃棄物を家畜飼料にする事業を開始。製品は現在、県内の養豚農家で利用されており、「肉質も甘みも増している」などという声が聞かれ、評判も上々だ。

見学会の参加者の一人は、平木工業の取り組みを視察した感想を「食品リサイクルは環境に優しいだけでなく、新たなビジネスチャンスにもなる。自社でも取り入れていきたい」と語っていた。

国内の食品ロスは、年間約621万トン(14年度)。これは国連世界食糧計画(WFP)による世界全体の食糧援助量(約320万トン)の約2倍に当たる。また、飼料のコストがかさみ、畜産農家の重い負担になっている現状もある。


畜産農家の生産コスト削減、自給率アップなどに効果


政府は現在、食品ロス削減と飼料代の負担軽減をめざし、平木工業が手掛けるような食品廃棄物を利用した家畜飼料を「エコフィード」と名付け、製造を推進している。政府は、国内で自給しているとみなされるエコフィードの生産量増加などを通じ、15年度に28%だった飼料自給率を25年度に40%へ向上させる目標も掲げている。

環境省の担当者は「食品ロス削減は水資源の節約だけでなく、温室効果ガスの削減にもつながる」と強調。農水省の担当者も「廃棄食品は、飼料や肥料にリサイクルできる貴重な資源だ」と説明している。

このほか、見学会では、河野氏が党PTとして食品ロス削減に向けて調査やヒアリング活動を積み重ねてきたことを報告し、「食品ロス削減を推進する法整備を進めていく」と強調した。

石田政調会長は「畜産業者の負担軽減のために、エコフィードを支援していく」と述べた。

終了後、食品リサイクルの普及・啓発に尽力してきた麻生団長は「"もったいない"の産業化を促し、循環型社会の構築を後押したい」と語った。

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