eマイナンバー 情報連携11月から本格開始

  • 2017.10.30
  • 生活/生活情報
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公明新聞:2017年10月29日(日)付



社会保障と税の共通番号(マイナンバー)を活用して、国や地方自治体が行政手続きに必要な個人情報をやりとりする「情報連携」の本格運用が11月からスタートする。その概要やマイナンバーカードの普及などについて解説する。



行政間の個人情報 やりとり可能に
社会保障の給付手続き 書類不要で簡素化


マイナンバーは、日本国内の全住民に通知されている12桁の番号で、社会保障と税、災害対策に関する事務の手続きに限って利用されるもの。

マイナンバー制度の情報連携が11月から始まると、住民にとって行政手続きがしやすくなる。

情報連携により、専用システムを使い、法律で定められた住民情報を都道府県や市町村など約1800団体の間でやりとりが可能になる。

その結果、住民が社会保障関連の給付を役所窓口に申請する際、これまで必要だった住民票の写しや課税証明書といった書類の提出がいらなくなり、利便性が向上する。

具体的には、どういう申請手続きで書類の添付が必要なくなるのか。

例えば、この時期に集中する保育園や幼稚園の入所申請。市町村に申請する場合、これまで必要だった生活保護受給証明書や児童扶養手当証書、特別児童扶養手当証書といった書類を提出しなくて済む。

このほか、児童手当や奨学金、介護休業給付金、障がい福祉サービスなどの申請でも役所窓口に出す書類が不要になる【関連表参照】。

利便性が高まる一方で、情報連携による個人情報の流出を懸念する声もある。このため、情報連携ではマイナンバーを直接使わず、情報を保有する機関ごとに振り出された符号を使用し、芋づる式に情報が漏えいすることを防止するなど、さまざまな対策を講じている。


スマホでの申請OK
国・自治体の取り組み強化を


マイナンバーをさらに普及させるためには、多くの住民が利用しやすいと感じる取り組みが、一層求められる。

その一歩として、内閣府が今年立ち上げたのがマイナンバーの個人向けサイト「マイナポータル」だ。行政機関同士が住民の情報についてやりとりした履歴を確認できるほか、保育所や幼稚園への入所申請といった子育て関連サービスがパソコンや一部スマホ(アンドロイド)で申し込めるようになる。

インターネットを使って子育てサービスの手続きをワンストップでできるのは、住民にとって役所に行かずに済むので利便度が高い。現時点で約95%の行政機関が対応しているが、残りの自治体は対応できる態勢づくりを急ぐ必要がある。

情報連携の本格実施で利便性が高まるマイナンバー制度。内閣府の調査によれば、言葉は知っているが「内容を知らない」人が半数近くいるのが実情だ。マイナンバーカードの利用法を含め、政府は、さらなるPRが必要だ。


広がるカードの民間活用
コンビニで手軽に住民票取得


住民の行政手続きの利便性を高めるマイナンバーカードは現在、どれだけ普及しているのか。

マイナンバーは全国民に通知されているが、カードの交付枚数は今年8月31日時点で、約1230万人で、人口の1割弱にとどまっている。

マイナンバーカードは全世代にとってメリットがあるにもかかわらず、役所以外に民間でも利用できることはあまり知られていない。

民間に導入された主な例として、全国の大手コンビニエンスストアで住民票の写しや印鑑登録証明書、戸籍証明書などを取得できるサービスがある。午前6時半から午後11時まで土日祝日を含め毎日、全国約5万店舗で交付を受けられる。

公的個人認証サービスも民間に拡大中だ。

マイナンバーカードを使って非対面での不動産取り引きもできるサービスを始めた事業者も出てきた。従来は対面による本人確認と本人確認書類の写しの郵送による提出が必要だが、マイナンバーを利用することで対面、非対面を問わず、本人確認をオンライン上で行うことが可能という。

図書館など公共施設や飛行機の利用によるポイントで地域物産を購入する地域経済応援ポイントなど、消費拡大につなげる実証実験も始まった。

このように、マイナンバーカードを利活用できる分野は広がりつつある。ネットバンキングでの残高照会や医療データの参照、災害時の避難状況の把握なども可能になる。2020年の東京五輪・パラリンピックでは、チケットなしで会場に入れるといった活用のあり方も検討されている。

将来的には、マイナンバーカード1枚で多様な使い方ができる方向に進みつつある。

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