e児童労働 撲滅へ日本も知恵を絞りたい

  • 2017.09.22
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年9月22日(金)付



危険で過酷な労働を強いられ、将来の夢や希望を抱けぬ子どもたちを救いたい。

国際労働機関(ILO)の発表によると、5歳から17歳までの子どものうち、建設現場での長時間労働や売春など、安全や健康を損なう恐れがある「児童労働」をさせられている子どもは、昨年、世界で1億5000万人余りに上った。

減少傾向にあるとはいえ、世界の子どもの10人に1人が児童労働を余儀なくされている。深刻な事態と言わざるを得ない。

児童労働を生む最大の要因は貧困であり、途上国や新興国に多い。子どもたちは、安い賃金で酷使されており、健康面、心理面での悪影響は極めて大きい。

国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」は、2025年までに児童労働を撲滅することを掲げているが、ILOは、達成は困難と警鐘を鳴らしている。「現代の奴隷」とされる児童労働の問題に、国際社会は今こそ真剣に向き合わなければならない。

多くの輸入品によって豊かな生活を享受する日本もこの問題と無縁ではない。綿花やカカオ、レアメタル(希少金属)などは、児童労働によって生産・採掘されているケースが少なくないからだ。

いかにして児童労働から子どもたちを解放するか。さまざまな動きが始まっている。

例えば、原材料の段階から製品が消費者の手に届くまでのプロセスで、児童労働が関わっていないかチェックする取り組みだ。チョコレート産業の世界大手12社が、ガーナ政府と共に「ココア・アクション」として児童労働を監視しながら生産性向上をめざす運動を、14年にスタートさせている。

原材料までさかのぼって、児童労働が関係していないか確認する取り組みに日本企業も参加していくべきである。

児童労働を経ていない原材料で製造された「フェアトレード商品」にも注目したい。

フェアトレード商品の市場規模は全世界で約1兆円に上るが、日本の市場規模は100億円程度と、英国の30分の1、ドイツの12分の1にとどまる。行政や企業が協力し、児童労働撲滅への取り組みを広く啓発していくことが重要だ。

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