eものづくり起業家育成へ商品化支援する拠点開設

  • 2017.09.07
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年9月7日(木)付



最新機器、低料金で利用
試作や量産化を手助け
高校生育てる取り組みも
京都市



試作品作りや量産化を手助けします――。京都市は1日、同市下京区内に、ものづくりのベンチャー企業を支援する戦略拠点「Kyoto Makers Garage」(京都メイカーズガレージ=KMG)をオープンさせ、話題を呼んでいる。3Dプリンターなどの最新機器を試作品作りに低料金で利用できるほか、高校生を対象に将来の起業家を育てる取り組みも展開中だ。

KMGは京都中央卸売市場に隣接したビルの1階部分を改装して開設。運営は、国内外のベンチャー支援で実績のある民間企業「ダルマテックラボ」が担当している。

拠点は協働作業ができるコワーキングスペース、最新工作機器を常設したメイカースペース、イベントスペースで構成。手軽に試作品を工作できる3Dプリンターやレーザーカッターは、月額5000円でコワーキングスペースを利用するメンバー会員でも、メンバーでない人でも1時間1000円で使用OK。学生は材料費を含めて無料で機器が使える。

さらに、さまざまな分野の生産技術を持つ京都府内の工場と連携して本格的な試作品作りや量産化への道も開き、成長の見込みがある企業には地元ファンドからの投資も行われる。

この日行われたオープニング式典では、KMGが支援していく予定のスタートアップ企業6社による商品や試作品が披露された。中でも、ひときわ注目を集めたのは、世界各地の自然や都市の風景を専属のカメラマンを派遣して撮影した音声付き動画が見られる壁掛け型の映像パネルだ。開発したアトモフ株式会社の姜京日社長は「窓のない部屋や職場の壁に、パネルを設置すれば、室内にいながらにして"ドラえもんのどこでもドア"のように窓から世界を見ている感覚を味わえる」と語る。パネルは今年から商品化され、既に1000台が売れたという。

また式典では、次世代を担う起業家を育てるイベント「高校生メイカーズ人材育成プロジェクト」で最優秀に選ばれた高校生グループが登場。日傘に小型ポンプとペットボトルを装着し、日傘を差すとミスト(霧)が出てくる「ミスト傘」を発表し、実演して拍手喝采を浴びた。

資金力がない企業や個人の起業家にとっては、素晴らしいアイデアがあったとしても、それを試作品にして量産化に結び付ける道は険しいのが実情だ。今回のKMGの誕生を受け、門川大作市長は「日本中、世界中を元気にするものづくりが、ここ京都から始まったと言われるようにしていきたい」と意気込んでいた。


公明市議の主張実る


ものづくりベンチャー企業のサポート対策については、公明党の青野仁志市議がベンチャー支援に取り組む関係者との懇談を続け、3年以上前から議会で重ねて訴えるなど、一貫して推進。特に昨年3月の予算特別委員会で青野市議が「国内外の優良なベンチャー企業と京都市のものづくり企業を対等に結び付ける体制整備を考えるべきだ」と迫ったのに対し、市側から「仕組みを作っていく」と明確な答弁を得ていた。

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