eコラム「北斗七星」

  • 2017.09.05
  • 情勢/社会

公明新聞:2017年9月5日(火)付



東京の後楽園球場が大歓声に包まれたのは、1977年9月3日午後7時10分過ぎだった。巨人軍の王貞治選手の打ったボールがライナーで右翼席中段へ飛び込んだのだ。通算756号ホームラン、世界新記録達成の瞬間だった◆福田赳夫首相(当時)は2日後の5日、王選手に国民栄誉賞を贈る。以来40年、時々の首相が『広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与えることに顕著な業績があった』23人と1団体に同賞を授賞してきた◆スポーツ界を見ても柔道の山下泰裕、野球の衣笠祥雄、長嶋茂雄、松井秀喜、横綱・千代の富士、大鵬、陸上の高橋尚子らがいる。しかし、大リーグでMVP(最優秀選手)に輝いたり、シーズン最多安打を更新したイチローの名前はない◆実は授賞の打診を2度断ったという。その理由も「まだ現役で発展途上。賞をいただけるのなら現役を引退した時に」「国家から表彰を受けるとモチベーションが低下する」というのが、いかにもイチローらしい◆現在43歳。マリーンズ所属。出場機会は少ないものの、今季も130メートル超えの特大ホームランを放ち観客を総立ちにさせたり、代打安打のシーズン球団記録を塗り替え、大リーグ記録にも迫る勢いだ。「50歳まで現役」をめざすイチロー。輝きを持続させるそのパワーがすごい。(流)

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