eコラム「北斗七星」

  • 2017.08.17
  • 情勢/社会

公明新聞:2017年8月17日(木)付



豊かな自然に囲まれ、路面電車やバスが走る環境に優しいコンパクトシティー。米国北西部にある人口約60万人のポートランド(オレゴン州)は、全米で最も住みたい街として人気がある◆環境の快適さだけではない。多様性重視のライフスタイルと、食文化を大事にする住民気質も魅力の一つ。若者を中心に移住が増え、クリエーティブな事業主も多いと聞くと、人口減、高齢化にさらされるわが国の都市にしてみれば、あやかりたくなる◆ポートランドの魅力を紹介した本紙14日付で、岡山大学大学院の中村良平教授は、日本の地域振興の上でも①環境重視という先見性と街の強みへの重点投資②外から入ってくる人たちに対する寛容性――は大いに参考になると指摘する◆都市経済学者のリチャード・フロリダによれば、都市の繁栄には「三つのT」が欠かせなくなっている。才能(Talent)、技術(Technology)、寛容性(Tolerance)だ。互いを認め合う寛容性のある都市には、才能豊かな人材が集まり、経済成長に不可欠な技術革新をもたらす◆結局、都市や街の発展は「人」に負うことが大きい。これが難題でもあるが、ポートランドも重化学工業による環境汚染に苦しんだ。その危機意識から住民と政治家が街を変えた歴史を持つ。(辰)

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