e米朝緊張 破局招く挑発合戦をやめよ

  • 2017.08.14
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年8月14日(月)付



激しい言葉のやりとりの先に何が待っているのだろうか。募る不安を抑えきれない。

北朝鮮の金正恩政権と米国のトランプ政権が、戦争も辞さない強硬姿勢で挑発合戦をエスカレートさせている。

感情を前面に押し出した非難の応酬は、ときに意図せぬ暴走を許し、不測の事態を招きかねない。双方ともに頭を冷やし、軍事衝突に陥らない道を探るべきだ。

国連をはじめ国際社会も、緊張緩和に向けた取り組みを加速させる必要がある。

発端は7月、北朝鮮が米本土を射程に入れる大陸間弾道ミサイル(ICBM)を2度にわたり発射したことにある。

危機感を一気に高めたのだろう、トランプ大統領は前例のない過激な表現で北朝鮮をけん制した。

「これ以上、米国を脅さない方がいい。でないと、世界が見たこともないような炎と怒りに直面することになる」

核攻撃を連想させるこの発言に北朝鮮は対抗心を露わにし、中距離弾道ミサイル「火星12」4発を同時発射して米グアム島沖の海上に着弾させる計画があると表明。作戦案は8月中旬までに完成させるとまで言い切った。

グアムには米空軍基地がある。実際にミサイルが発射されれば、両国間の軍事的緊張は極限に達し、武力衝突が現実化しかねない。「北の核」をめぐる問題は今や、一触即発の危機的状況を迎えたと言って過言でないだろう。

北朝鮮の軍司令官は、ミサイルが日本の島根、広島、高知3県の上空を通過するとも語っている。

不測の事態に備え、政府が地上配備型迎撃ミサイル「PAC3」を中国・四国地方に配備したのは当然だ。住民の安全確保を最優先に、万全の態勢で臨んでほしい。

それにも増して重要なのは、ミサイル発射それ自体を阻止する外交努力を怠らないことだ。米韓両国はじめ中国やロシアとの連携も強化し、北朝鮮の暴走を許さない国際環境を作り出す必要がある。

そのためにもトランプ氏に対して、敵愾心をあおる攻撃的で軽率な言動は慎むよう、同盟国の立場から説得できないものか。「独裁政権が得意とする脅しの応酬の術中にはまるべきでない」として。

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