eコラム「北斗七星」

  • 2017.08.01
  • 情勢/社会

公明新聞:2017年8月1日(火)付



西條奈加さんの連載小説『隠居すごろく』が始まり、本日付でちょうど2カ月。場の雰囲気を上手く醸し出す挿画の安里英晴さんとの呼吸もピッタリで、読者に大変好評だ◆主人公は江戸は巣鴨町の嶋屋という糸問屋の六代目主人徳兵衛と孫の千代太。物語は徳兵衛が人生の有終の美を飾ろうと突然、「隠居する」と宣言したところから始まった。ところが、それまでガムシャラに働いてきた男に趣味はなく、友もいない。隠居家の話し相手といえば口達者な女中のみ。次第に孤独の隅に追いやられていく◆そこへ現れたのが孫の千代太。"救いの神"の登場と喜んだ徳兵衛だが、それも束の間、隠居家を来訪するたびに千代太が持ち込む珍事や難事に、連日振り回されることになる......というのがこれまでのストーリー◆まあ、どういう時代であれ、これに似たようなことがあるだろうし、祖父母にとって生きがいなのが孫の存在だ。孫のいる50~79歳男女333人に聞いたところ、昨年1年間で孫の喜ぶ顔が見たいと約12万3000円使っていた。50万円以上という人も5%近くいる(ソニー生命保険調べ)◆正直言えば、北斗子も一度は孫のために50万円以上使ってみたいと思う。その時は女房や息子夫婦の眼差しも一挙に尊敬の念へと変わるだろうから......。(流)

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