eコラム「北斗七星」

  • 2017.07.19
  • 情勢/社会

公明新聞:2017年7月19日(水)付



東京都狛江市の「手をつなぐ親の会」が、選挙で知的障がい者などの投票のサポートに役立つDVDを制作し、関係者に好評だ。障がい者の側に立った配慮が随所に見られ、本紙でも紹介した(4月24日付)◆同会の今月発行の冊子には、取材した本紙記者の寄稿が載った。「私の妹は、重度の自閉症」と記者は書いた。あるとき、「テレビのリモコンを取って」と頼むと妹は困り顔。見ていた母親が「テレビのカチャカチャ」と言うとすぐに理解したとの経験とともに、相手の側に立つことの大切さをつづっていた◆ところで、藤井聡太四段が連勝記録を塗り替えたとき、将棋界のレジェンド「ひふみん」こと加藤一二三九段は、藤井四段が対局中に相手側に回り込んで盤面をのぞく「ひふみんアイ」を見せたことに「ものすごくうれしい」と絶賛◆以前、そのアイで「いい手を見つけて王将を獲得した」という加藤九段が本紙で、尊敬する画家の故・梅原龍三郎氏との交流を語ったことがある(2000年9月9日付)。将棋好きの梅原氏と"飛車角抜き"で一局交え、その見事な手筋に、「自分の負けとしました」と◆わざと負けたことは後に梅原氏に知られてしまうが、そんな思いやりも、心の「ひふみんアイ」か。相手の側に立つと、いろいろ大切なものが見えてくる。(三)

月別アーカイブ

iこのページの先頭へ