e日韓関係 未来志向で「シャトル外交」 重ねよ

  • 2017.07.18
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年7月15日(土)付



韓国との関係を立て直す一歩としたい。

安倍晋三首相と韓国の文在寅大統領は、主要20カ国・地域(G20)首脳会議に出席するため訪れていたドイツで初めて個別に会談し、日韓関係を前に進めるべく、年に1回程度、相互に訪問する「シャトル外交」を再開させることを確認した。

シャトル外交は、2011年末に来日した当時の李明博大統領と野田佳彦首相が慰安婦問題をめぐり応酬してから途絶えていた。未来志向の関係構築へ再開を評価したい。

5月に文大統領が誕生して以来、要人の往来は活発化し、日韓関係は着実に動き出している。韓国の超党派国会議員でつくる韓日議員連盟も早期の訪日へ調整しているという。関係改善の流れを後退させず、発展させなければならない。

北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射をはじめ、核・ミサイル開発を進めるなど東アジアの安全保障環境が厳しさを増す中、日韓、さらに日米韓が連携して北朝鮮への圧力を強化することは重要だ。日韓の信頼関係構築は、地域の安定にとっても意義が大きい。

日韓首脳会談で安倍首相は、7月後半の東京開催が見送られていた日中韓首脳会談を今年中に国内で開き、文氏の初来日を実現したいと伝えた。北朝鮮問題や気候変動など山積する国際的な課題の解決には、中国を含む3カ国の協力関係も欠かせないだけに、早期の実現を求めたい。

日韓両国の間には、慰安婦問題など難しい課題が横たわるのも事実だ。ただ、こうした問題が日韓関係全体に悪影響を及ぼさないようにすることが日韓両国共通の利益であることを忘れてはなるまい。

慰安婦問題に関して政府は「日韓合意が未来志向の日韓関係を築くための基盤である」という、わが国の立場を韓国政府や国民に粘り強く伝えていく必要があろう。

これまで両国関係は前進と後退を繰り返しつつも、核軍縮・不拡散、貧困など地球規模の課題について協力してきた。ただでさえ朝鮮半島の緊張が高まっている中である。両国は大局観に立ち、経済や文化も含むあらゆる分野で連携を重ねていきたい。

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