e女性への暴力をなくそう

  • 2017.07.11
  • 生活/生活情報

公明新聞:2017年7月11日(火)付



党女性委副委員長 佐々木さやか 参院議員に聞く



公明党女性委員会(古屋範子委員長=副代表、衆院議員)は、女性を性的な暴力から守るため、刑法の改正や、アダルトビデオ(AV)の出演強要問題に取り組んできました。これらの成果について、佐々木さやか副委員長(参院議員)に聞きました。


改正刑法


「強制性交等罪」を規定 厳罰化し類似行為も対象に

―改正刑法が13日に施行されます。どう変わったのでしょうか。

佐々木 強姦罪の名称を「強制性交等罪」とし、被害者に男性を含め、性交類似行為も対象となりました。また、従来の強姦罪は法定刑の下限が懲役3年でしたが、強制性交等罪は同5年に厳罰化されました。

このほか、強姦罪や強制わいせつ罪などの性犯罪は従来、検察が起訴するために被害者の告訴が必要な親告罪でしたが、この規定を削除。「非親告罪」としました。また親など、子どもを監護している者が、その影響力を利用して18歳未満の子どもに性交やわいせつ行為をした場合、暴行や脅迫がなくても処罰できる監護者性交等罪と監護者わいせつ罪が新設されました。

―どうして罪を重くしたのですか?

佐々木 人間の尊厳を守るため、性犯罪を許さない社会をつくることが目的です。今から100年以上前に定められた刑法の性犯罪処罰規定は現代社会の実態とずれが生じ、改正を求める声が高まっていました。

例えば、強姦罪の法定刑の下限はこれまで懲役3年で、強盗罪(同5年)より低く規定されていました。また、男性が性的暴行の被害に遭った場合、これまでは強姦よりも罪が軽い強制わいせつとして扱われていました。強姦罪を強制性交等罪に改めることで、こうした課題に対処しました。

―被害者団体の方々は、強姦罪から暴行、脅迫の要件をなくすことを求めていましたが。

佐々木 今回の改正では、見送られました。しかし、暴行、脅迫を適切に認定することで、強制性交等の事実を認めることができると考えています。

―適切な認定とは?

佐々木 実際に被害が発生する場合、被害者が恐怖などで身動きが取れなくなる「フリーズ反応」が起き、抵抗できないケースがあります。「抵抗がなかったから暴行、脅迫はなかった」とならないようにしなくてはいけません。

公明党は、国会審議の中で暴行、脅迫の適切な認定を求めました。その結果、衆参の付帯決議で、心理学・精神医学の知見を踏まえ、警察官、検察官、裁判官に対して、性犯罪に直面した被害者の心理などについて研修を行うことが明記されました。

―今後の課題は?

佐々木 性犯罪は被害が潜在化しやすいため、実態の調査が必要です。また、被害者が相談できるワンストップ支援センターの設置を進めなければなりません。これらの内容も被害者の声を基に、付帯決議に盛り込まれました。


「出演強要」問題


プロジェクトチーム立ち上げ対策リード 提言を基に取り締まり強化

―佐々木さんは党のAV出演強要問題対策プロジェクトチーム(PT)の座長を務め、取り組みを続けてきました。経緯を教えてください。

佐々木 被害者の支援団体から相談を受ける中で、「『モデルにならないか』と声を掛けられ、現場に行くとAVの撮影だった」といった被害があることを知りました。

決して「特殊な世界の話」ではなく、女性の人権が著しく侵害されている実態を見過ごしてはならないとの思いから、昨年12月、PTを立ち上げました。

―PTは3月15日、政府に提言を申し入れましたね。

佐々木 相談・支援体制の充実や法律違反の事例に対する積極的な取り締まりを求めたほか、4月を周知・啓発の特別月間にすることなどを提案しました。

―提言の後、すぐに関係省庁局長級会議が開かれました。

佐々木 スピード感を持って動いてもらえたと思います。3月31日に緊急対策がまとまり、関係法令を厳格に運用して取り締まりを強化することなどが決まりました。5月19日には、今後の対策も決定しました。

これにより、全国の都道府県警に専門官を配置することや、相談窓口の周知、関係機関が適切に対応するためのマニュアルの作成、学校などでの被害防止教育などが進みます。

性犯罪や出演強要は被害者が声を上げにくい問題ですが、公明党は被害者に寄り添い、対策を続けます。

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