e地方自治法70年 行政の可能性広げる「透明化」

  • 2017.05.10
  • 情勢/解説

公明新聞:2017年5月10日(水)付



地方自治法は日本国憲法と同時に施行され、3日で70年を迎えた。明治憲法に地方自治の条文はなく、現行憲法で初めて規定された。まさに地方自治法が戦後の新しい政治を開いたといえる。

国の権限が強く"中央集権的"とも言われた地方自治法だったが、改正を重ね、今では国が自治体を"下請け"として使うための機関委任事務は廃止され、国と自治体は対等な関係になった。

しかし、憲法が掲げる「地方自治の本旨」にゴールはない。地方政治を住民の意思に任す「住民自治」、国から独立した団体に自治を担わせる「団体自治」が「本旨」の内容とされ、どちらも時代に応じて具体化、深化させる必要がある。地方議会から出発した公明党は、そのための努力を続ける決意だ。

政府は現在、人口減少社会に対応できる地方行政体制の構築をめざしており、その一環として地方自治法改正案を国会に提出した。

人口減少の中で自治体が質の高いサービスを提供するには、地域の実情に応じた政策を自由自在に進める必要があるが、そこで欠かせないのが行政の透明化だ。近年相次いだ自治体の不明朗な支出やムダ遣いなどを根絶しなければ政策執行に必要な住民の支持を失うのは言うまでもない。

そのため改正案は、内部チェック(内部統制)の強化に力点を置いている。具体的には都道府県知事と政令指定都市の市長に対し、首長が内部統制の方針を定め、それに基づく評価報告書を毎年作成し議会に提出する義務を課した。さらに、監査制度の充実強化として監査委員による監査基準の策定・公表も定めた。

こうした行政の透明化は、地方議会公明党が長年訴えてきた改革でもある。

特に都議会公明党は、行政の透明化を支えるために必要な「財政の見える化」に挑戦。企業会計の手法に準じた新公会計制度を2006年度から全国で初めて導入させた。これで判明したムダを削減した結果、今年度予算分を含め06年度からの累計で6900億円の財源が捻出できた。

行政の透明化は地方自治の可能性を広げる。併せて、地方議会が担う行政監視機能の発揮にも期待したい。

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