eコラム「北斗七星」

  • 2017.04.19
  • 情勢/社会

公明新聞:2017年4月19日(水)付



今月から始まったNHKの朝ドラ「ひよっこ」は、茨城県の山あいの農村が舞台。のどかな日常を映す画面から土の匂いが香ってくる。そうだ、と茨城が生んだ作家、長塚節の小説『土』を手に取った。夏目漱石の推薦で東京朝日新聞に連載され、初版本が発行されたのは105年前◆『土』は、当時の「(百姓の)困憊を極めた生活状態を(略)ありありと眼に映るように描写」(漱石)している。そして「春は空からそうして土から微に動く」と季節をつづり、「水に近い湿った土が暖かい日光を思う一杯に吸うてその勢いづいた土の微かな刺戟を(木の)根に感ぜしめる」と続く◆人間と自然をあまりにもリアルな"手触り感"で描く作者を、漱石は「誰も及ばない(略)精緻な自然の観察者」と評した。その筆致は、作家の和田伝が「作者の必死な祈りが感じられる」(小説『土』の「解説」)というほどだ◆8日の公明党全国県代表協議会で山口代表は、作家の佐藤優氏が、社会の分断に対処するには「目の前の民衆をリアルに見ることができる、この"手触り感"が何より大事だ」として、「大衆」と共に歩む公明党に期待を寄せていることに触れた◆現場で人間と交わり、社会をじっと見て、その"手触り感"から政策を練り上げる。そんな政治は、公明党だから、できる。(三)

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